テキ……テキ……
テ…………キ…………
ノクティスは、機械体の大きく裂けた胸部の装甲をひっ掴んだ。しかしもう一方の手で一撃を放つより先に、機械体の拳がノクティスの顔をとらえた
オイル…………
ハッ!しゃらくせえ!
隙だらけ
ノクティスが機械体のパンチをガッツリ食らっている間に、21号が素早く隙を見つけ、機械体の左腕を切り裂いた
終わりだオラァ!
ノクティスもすぐさま反撃し、拳で機械体の頭の半分を砕いた
スラッ……ジ……
マジか、頭半分フッ飛んでんのに、まだくたばらねえのかよ!
それなら粉々に壊すまでね!
機械体はノクティスの次の拳をかわしたものの、ヴィラの旗槍はかわせなかった
ギィ――ジジッ――
ヴィラの旗槍がノクティスの頬をかすめて飛び、機械体の残っていた半分の頭を貫いた
目標……沈黙
この【規制音】!
ノクティスがペッと唾を吐き、がっちりと掴んでいた機械体を乱暴に離すと、機械体はガラクタのようにぐしゃりと地面に倒れ込んだ
こんなしぶてえ鉄クズ野郎は初めてだ
見たことない敵……
あたりを見渡すと、砂の中から湧き出た敵たちは散り散りに逃げ出していた
パニシング濃度、正常レベルに戻った
ヴィラはノクティスの側にある機械体の残骸に近付くと、半分になった機械体の頭を足で押さえつけて旗槍を引き抜いた
この製造技術はさっきのガラクタとは違うわ。別の場所から来たようね
このダっせえデコレーション、見覚えがあるぜ
フン、この出処不明の機械体はあの修理屋の一味なんでしょう
ヴィラは機械体に取りつけられている、鉄釘と亜鉛鉄板でできたトゲのような装飾を蹴り飛ばした
行くわよ。ノクティス、21号
砂嵐も収まったわ。敵と出くわす前に出発しましょう
「髭」は?
連れていく以外にある?何のために助けたのよ。今は気を失っているだけ、命に別状はないわ
次の集落までは連れていくわ。私たちにはまだ任務があるの
っしゃ、行くとするか
ノクティスは意識のない「髭」を背負い、ヴィラの側に立った
意識を失ったその中年の男は、古い映写機とフィルムの入った袋をその胸にしっかりと抱えている。手に握られたナイフに、微かな月明かりが映っていた