なるほど……九龍の雰囲気とはかなり違うのね
含英は舞台を歩き回り、興味深そうにしげしげと周りを囲む装飾を見た
何だかここって……物語から飛び出てきたぬいぐるみたちが踊っていそう
指揮官はバレエという舞踊を見たことはある?
表現の仕方は違うけれど、あれも素晴らしい芸術です
含英はプロのダンサーのようにいくつかバレエのポーズをしてみせた
だがその雰囲気は、何だか……
えっ?
私の踊り方、変?
それもそうね、私はバレエを専門的に習っていないので……
あるいは変というより、イベントへの姿勢がちょっと違うのだ
バレンタインにこんな迷路にふたりっきりなのだから、雰囲気をもうちょっとロマンチックにするべきだろう
指揮官は……こういう接し方ではお嫌?
含英の顔がどんどん真っ赤になっていき、彼女は柔らかく微笑んだ
指揮官はどうしてほしいの……?
こちらの言葉を待たずに、彼女はすでに笑顔を浮かべながら、後ずさって腕を曲げると、飛びゆく白鳥のような踊り始めの構えをした
もう心の中に答えは浮かんでいるが、こうして直接伝えるならば……
~晩秋の江橋は紅葉に見え隠れし、日が落ちても待ち人の船は戻らず~
こちらの言葉を待たずに、彼女はすでにシンプルなリズムで歌いながら、まるで大きな白鳥のように舞い踊った
~恋しい気持ちはまるで西江、その流れのように絶えなく~
そう、直接言葉にこそしていないが、含英の踊りはその答えを物語っている――