こういう舞台なんだ、まるで本当に結婚式場みたいだね
ノアンは驚きを隠せない様子で舞台全体を眺めている
僕も昔こういう場所で、人の結婚式に何回か参列したよ
旅の行商人とか、拠点の人員とか、まだ地球にいる人々のだね
廃墟の教会は薄暗くて古いし、時々侵蝕体と遭遇するから、ここの雰囲気とはまったく違うけど
危険だとわかってても、彼らはそうやって式を挙げていたし、僕らも参列していたよ
終末の世でもがきながら生き残るのは偉大で、面倒臭いことだ。だからこそ……人々はできるだけ心に明るい思い出を残そうとするんだろう
君だって何かいい思い出を残そうと、忙しい中わざわざここに来たんだろう?
僕?僕は、君に誘われて本当に嬉しかった
あと……
いつも素直な青年が一瞬黙り込んで、何かを言いかけていたように目を逸らした
質問されたノアンは真剣な面持ちで目の前の人間を見ると、少し照れたように笑った
さっき君と会った時、伝えたかったことがあって……
この格好、すごく可愛い
その着ぐるみを少し触ってもいいかな?
それと……ハグしてもいいかな?