舞台の上から見下ろすと、周りの砂浜と海、そして先ほどくぐり抜けて来た迷路がはっきりと見える
ルナは何の気もなしに階段の上に立っていた
道理でこんな風に飾りつけられている訳ね
ただの仮想空間でしょう
見た目はいくら華美でも、所詮中身は鉄骨とか鉄板だもの
……でも、嫌いではないわ
ルナが何度か横目でビーチの方をちらちらと見ていたことに気付いて、こちらから他のプランを提示してみた
あなたが提案するなら、行っても構わない
仮想空間のビーチは凪いでおり、何も言わずルナと一緒に砂浜を散策した。ルナは目を細めて、あのバーチャルの海の向こうと繋がっている未知の彼方を眺めた
海は……いいわね
騒がしい人の声も波風もなく、何もかもが私がかつて月の上で見たように、静まり返っている
この世界を人間と同じように見られるほど、今の私は平和だと思ったけれど
……あなたは他の人間と違うことに気付いたから
同じ人間のように見えても、知れば知るほど、あなたは他の人間と異なる心……を持っていることがわかった
それが……人類の最後の希望かもしれない
だから、これからもちゃんと生きていて
私は、ただこの世界を変えることだけを望んでいるんじゃないの