うん……
今まさに床を踏みながら、カレニーナは少し戸惑っているようだ
別に特別なモンはねーな……
それともあれか、この迷路をクリアしたら、何か報酬がもらえたりすんのか?
こういうイベントはただ、デートする人々に心に秘めた想いを伝える場所として用意されているだけなのだろう。たとえプチギフトがあったとしても、それは――
どわぁぁぁ!
地面が微かに振動するとともに、舞台の床に亀裂が走った。見てみると、昇降装置が引っかかっているようだ
な、なんでここにエレベーターなんか!
かなり以前に見た映画では、デート中のカップルが困難を乗り越えてようやく一緒にいられるようになると――なぜか意味不明な花やらバルーンがいきなり出現していた気も……
きっとこういう昇降装置のお陰だったのだろう……?
……中に割れたバルーンが少し入ってるみてーだな
いつの間にかカレニーナはすでに床の亀裂をこじ開け、その下に引っかかっている昇降装置を調べ始めた
ずいぶんメンテナンスしてなさそうだが、リレーが故障しちまってるけど大したことじゃない……
おい、なんでそうやって見てるんだよ!
こちらの視線にようやく気付いたカレニーナは、調べていた昇降装置から怒ったように顔を上げた。警戒しているように逆元装置がピンと立っている
……ふん
彼女は鼻を鳴らし、その声が段々低くなっていった
この修理がひと段落したら、もう1回遊んでやってもいいぞ
バルーンが空中に浮いているところ……見てみたいしな
……おい!これ以上、調子に乗るんじゃねーぞ!