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夢魔の挽歌‐4

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「奇跡は起こりました。蛙の予言通り、9カ月後に王妃に可愛い女の子が誕生したのです」

「喜んだ国王は盛大な宴を催し、親しい友人と王国の魔女たちを招待しました」

「ところが、王国には13人の魔女がいるはずなのに、黄金の皿は12枚しか用意されていません。誰かが招待されていなかったのです」

「そして11人の魔女が姫に祝福を捧げ終わった時に、招待されなかった魔女が怒りながら現れました」

「お前は私を除け者にした。たとえ私が宴に参加せずとも、私の分の皿は用意されるべきなのだ」

「罰として、私も美しき姫に祝福を贈ろう——姫よ、そなたは15の時、糸車の錘に指を刺して死ぬだろう!」

「すると、まだ祝福を捧げていなかった12人目の魔女が前に出て、こう言いました」

「悪しき魔女よ、お前の魔法は私が打ち消そう」

「呪いを完全に解くことはできぬが、姫を死なせはせぬ。姫は決して死なず、眠りに陥るだけ……」

エネルギーステーションは爆発した。そして戻ってきたのはヤコフひとりだけだった

エフゲニーとイワンは手動で消火システムを起動させようとしたが、間に合わなかった……俺はふたりを止められなかった

航路連合が生存者を受け入れているらしい。俺は…………ここに戻ってくる途中に運良く残りの補給を見つけたんだ。ムルマンスクまでは足りるんじゃないかと思う

ヤコフは背後を指さした。黒焦げの補給箱が何個か置いてある

そうして、なんとか生き延びた住民たちは絶望の中、ムルマンスクへと向かった

インブルリア

ゴホッゴホッ……助けて……

足は重く、体は高熱で溶けてしまいそうだ。目の前にある雪の大地がどんどん延びていくような錯覚に陥り、視野が歪み始める

ふと、額が冷たい雪に激突した。倒れてしまったようだ

インブルリア

ゴホッ……誰か……お願い……

難民たちの声

「おい……あの子、大丈夫か?病気なんじゃないか?誰か見てやれよ……」

「関わるな!知らないのか?あれはエフゲニーの娘だぞ!俺たちがこんな目に合うのは誰のせいだと思っている!?」

「そうだ……騒乱を起こしたのはソルトバラのエフゲニーだ……」

「あれがその罪人の娘か……」

……「罪人」

皆の期待に応えられなかったから、物資を確保できなかったから、エネルギーステーションの爆発を止められなかったから、皆を幸せにできなかったから……だから「罪人」

ずっと黙って見ているだけのくせに、いざ問題が起きたらたったひとりに責任を押しつけて「罪人」のレッテルを貼る。まるでそうすれば、全てが自分のせいじゃなくなるみたいに

それが父さんの守ろうとした人たち?

目の前が真っ黒になり、もはや遠のいていく足音だけしか聞こえない。誰ひとり立ち止まることはなく、皆無言のまま進み続けている

難民たちの声

おい!あれ、航路連合の武装部隊じゃないのか!?……助かった!

人々はざわつき出し、やがてそれから両側に避け始めた。誰かが人々の間を縫って近づいてきている

足音が近づき、ぼやけた視界に軍用靴が現れた。そして、体がいきなり軽くなった。どうやら抱え上げられたらしい

可哀想な子だ……

ヒョードル隊長、確認が終わりました。ソルトバラの騒乱の生存者たちで間違いないようです

よし。では航路連合の決定に従い、中心エリアに先導しろ

そのあとは航路連合に任せよう……

あらゆる音が耳もとから遠のいていく。私はとうとう、無限の黒闇の中へと墜ちていった