Story Reader / イベントシナリオ / 伝説の執行者·GR / Story

うああああ――ぶ！

ザンジバルは耳障りな悲鳴をあげながら転がり、壁に激突した

ゲームならではだな。現実世界でこの力を使ったら、敵はあっという間にバラバラだ

少し角度が悪かったのかしらね。ザンなんとかさんの装甲、なかなか硬いじゃない

チッ、次はお前に食らわせるぞ

薄情な審判（兼プレイヤー）たちが好き好きに論評しながら、点数をつけていく

おのれ……この魔将――ザンジバルが負けるとは

ザンジバルはブツブツ独りごちながら、背後の壁を開いた。もう、こちらのことは視界に入っていないらしい。開いた壁の向こうには、奇妙な形の宝玉が置いてあるようだ

これは、あれか？敵からキーアイテムを手に入れる時のシナリオだな？

そうだろうな。いわゆる勝利報酬だろう。わざわざ取り出してくれるとは、ご親切なことだッ！

ぐっ！

カムはザンジバル目掛けて大剣を投げつけた。とっさにかわそうとしたザンジバルは、宝玉を取り落してしまう

しまった……！

いただいておくぞ

宝玉は、剣を投げると同時に動いていたカムによって確保された。カムはもう一方の手で大剣を拾い上げると、ザンジバルの頭にぴったりと当てる

くっ、我々魔族は、我々魔族は……

だが、生命の危機に瀕しているにもかかわらず、ザンジバルはただ、奪われた宝玉を見つめるだけだった

魔族がどうしたっていうんだ

カムはこれまでになかったパターンに一瞬驚いたようだが、すぐに半歩下がって大剣を構え直し、ザンジバルを押し返した

国王の犬どもがッ！

ザンジバルがカムに突撃する。カムはとっさに斬撃で応戦したが、その斬撃によって空中に亀裂が出現した

クソッ、今に見ているがいい！勇者どもが！！！

ザンジバルは切断された部屋もろとも落下していった。やや遅れて、鈍い轟音が響く

おい、カム。あいつ一体……

……

よくあるゲームキャラのデフォルト動作ではなくて？魔将を倒したうえに、秘宝も手に入れたことですし、さっさとここを出ましょう

そうだな。最初のボス戦を突破したんだ、次のシナリオも解放されるだろう