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M-1 犬か鷹か
>（8bitドキュメントにてルシアへ……ガードの陣形が乱れてきているようですよ）
寝宮の外では、襲撃の警報音が絶えず鳴り響いていた。女王の命令を受けたガードたちが右往左往している……
（……了解）
（指揮官システムに接続……）
（指揮官システムのメモリーログを使用……私の傍……離れないで……指揮官……隙を見て……即反撃）
ニタは意識海の移動を繰り返しているようだ。グレイレイヴン目の前にある機体は、何度も抜け殻になっていた……
……考えを改めたわ。指揮官にはここに残っていただきます。空中庭園がサンドワールプール拡散プランに合意するまでの間はね
他の者は下がりなさい
ガード……客人がお帰りよ……
指揮官も、空中庭園も、あなたと合意することは何ひとつありませんよ
聞こえなかったのかしら？私は忙しいの……
お前たちのような構造体と、つまらない話をしている暇はない
！！！！
侵入者警報……！！！
ビアンカ！？！？！？
粛清部隊、ビアンカ……指揮官を確認
申し訳ありません、道中少々手間取りまして。皆さん、ご無事で何よりです……
ビアンカの出現により、ガードは恐慌状態に陥った。防御隊列に大きな隙が生じている……
今です！！指揮官を援護しつつ退却を！！！
ビアンカが5本の矢を一気に放つ。寝宮内に連鎖的な爆発が巻き起こった……
……女王として、お前たちには最大限の自由を与えるつもりでした
あの人もよく「自由意志」という言葉を口にしていたから
地球上のあらゆるものには、自由に選択する権利があると私も信じていたわ
でも……代償を支払うことなく自由を享受できる未来など、この世界ではありえないのね……よくわかりました……
――お前たちの行動がッ！！それを証明したのですッ！！！！
――――
——！！——！！
イエーイ！だから言ったでしょ、風だってば！
地面に大きな亀裂が走り、黄金の粉が一斉に噴き出した
よいしょっと……開いたぜッ！！指揮官、みんなも無事かッ！？
お前たち……よくも……！！！！
女王の寝宮を破壊するなんて……何という狼藉……！！！
女王だか何だか知らねぇけど、人間を実験体にしてもいいってのか？お前、何様だよ？
万物は女王の下僕。女王にかしずいてこそ、世界は生まれ変われる
女王の実験体として役に立つなんて、名誉なことだわ……
わずかな命と引き換えに、世界が復活できるのなら……それこそが正しい選択よ……！
あなたのいう「復活」の術は、黄金の抗体だけですか？
……何が言いたいの？
あなたが作った黄金の抗体を、私は詳細に分析しました
結論から言えば、この抗体でパニシングを駆逐することは不可能です
パニシングの活性を著しく低下させるのは、最初のうちだけ……
定期的に抗体を投与し続けない限り、パニシングはすぐに活性化してしまいます
……なるほどな
女王様は汚染区域を黄金の粉で覆い尽くしたいがために、エアダクトを複雑怪奇に張り巡らせたってわけか
気象エンジンが抗体を運搬するための動力源だな。浄化塔のパーツを利用していやがる……
昔ながらの設備だが、動力は無限に近いからな
ニタ……
計画の欠陥を補うために、突貫で動力システムをかき集めたようですが……
リスクは見積もりましたか？
浄化塔のハードウェアだけでは、到底パニシングの侵蝕に耐えられない。侵蝕があった場合の対処は？対応できるシステムは設計しましたか？
「――女王命令！！ただちに昇格者ロランの位置を報告して！！」
率直に申し上げて、あなたの計画が上手くいく見込みは皆無です
気象エンジンの出力を維持するだけでも、とんでもねぇ資源が必要だしなぁ
……ニタ、もうおわかりでしょう？空中庭園があなたに協力することはありえません
……お前……し……死罪……に値する…………
王を自称しながら、反論すらできない機械人形ばかりを従えて
救世主を自称しながら、か弱い命を顧みることもない
あなたには覚悟が足りないんだ
……お前たちこそ、何ひとつわかっていない……！！
なぜ、空中庭園では脱走や造反が後を絶たないのかしら？
命を顧みないですって……？
侵蝕されていく地球を見棄て、宇宙へと逃げたのは誰！？
何年経っても、お前たちのような使い捨ての犬を、ただただ地球に送り込むだけ。「任務」ですって？冗談じゃない、おままごともいいところだわ！
そうよね、自分たちは安全な場所にいるんですもの……
適当に犬を放って、女王の寝宮で吠えさせていればそれでいいのよ
皆、集まってください。ガードに動きが
残念だけれど、いくら吠え立てたって幻想が現実にとって代わることなどないわ
女王のガードよ……
この犬どもを始末なさい
――！！！
