Story Reader / 幕間シナリオ / 駒を置く者 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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巣立つ鷹

おめでとう、ジョン

特化機体に特化型逆元装置……やっと客観的な技術成果を得られた。やはりクロムは期待を裏切らないな

ずいぶん喜んでいらっしゃるようだ

最大限、指揮官から分離できる構造体だ。この技術を応用すれば、今後より多くの機体が強化できる……戦況も我が方に傾くだろう

……

まだ会議があるから、先に失礼する。君がここにいるのも、戦場から帰還するご子息を待っているのだろう

機体の適合成功は確認済みです。待つ必要はありません

そうか

勇者の周りに、幾千万の勇者がいる

世界に勇者がただひとりのはずはない。それはありえないことだ

剣を手にした者、魔王と対決すると決めた者、皆全てが勇者なのだ

彼らはあるいは魔窟への旅の途中に果て、あるいは魔王に倒されてしまう

魔王が討伐される前に死した勇者を、誰も覚えていない。名を覚える必要がないからだ

だが、ひとりの勇者が立ち上がって、こう言った

「私は全ての勇者の名を背負って、戦いを続ける」

「スミス」を超えるか……

あれ以前にそんなことを言ったスミスはいなかった

命令に背かれながら、父と呼んでくれたことに……喜びを感じるとはな

私は君の父親ではないかもしれないが、君は私の息子だ

彼が手に持っているのは、糸を引く必要のある凧ではなく、羽ばたく翼を持つ鷹なのだ

あの時、部屋の暗い影に佇んでいた少年は、すでに巣立っていった

彼には、「スミス」の最後が見えている

だが、鷹がどこへ飛ぶのかは予想できないでいた

それこそが、全ての「スミス」が探し求めた答え――

「スミス」が今日まで受け継がれ、求め続けた真の答えなのだろう