ヴィリアー、ここにいたのね
来たか。発表が終わったな
ええ、主役はその場にいなかったけど
僕がその手のことが苦手なのは知ってるだろ。逆に曲の方がメディアの対応がうまい
あなたこそ武蔵型に変革をもたらした人なのに
商人や政治家といるよりは、機械の方が気が楽だ
機械こそ理性そのものだ。人類のような醜い感情を持たない
完璧な機械こそが、僕の傍にいるべきだ
ああ、言いすぎたな……
ヴィリアーは本を閉じると、椅子から立ち上がった
発表会も終わったし、もう行くか
輸送機は20分後に到着する
ええ。その前に、その機械の電源は切らないの?
何のことだ?ここでずっと読書していたから、機械は触っていない
…………
?!
ヴィリアーが戸惑いの表情を浮かべると、曲はいきなり床に落ちているドライバーをヴィリアーの方に蹴り飛ばした
ヴィリアーはとっさに体をねじり、そのドライバーをかわす。振り向くと後ろに展示されていた武蔵陸型がいつの間に戦闘スタンバイモードになっていた
武蔵陸型は構えたロケット砲をヴィリアーに振り下ろしてくる
チッ
曲の攻撃で武蔵陸型の射角がずれた。次の攻撃までの間隙を縫って、ヴィリアーは曲のそばに飛び退った
くそっ
故障?
……ではなさそうだ。とりあえずこいつを始末しよう。こんなもの、僕が造ったと言いたくない
同意ね
曲は頷き、電子ロックに抗う武蔵陸型に向かった