総司令。お話とはなんでしょうか?
デスクの上には、いくつかのファイルが広げてあった。その中に、通常の報告書に紛れて1通の経歴書がある
少し前に軍部が受け取った、初めての構造体改造成功の報告だった
クロム
空中庭園登録リストに、そのような名前はない
改造は大成功だった。完璧といっていい
特化型逆元装置の初実験だ。ランストン·スミス、君のご子息はやはり天性の資質を持っていたようだな
……
だが、刃であろうと、刃を振るう者であろうと、戦場へ出る以上、運命は同じだ
何の違いもない
勝てさえすれば良いのだ
まあ君のように、血統ではなく家名の継承を重視するというのは、大いに学ぶべきところがあるな
私や君のように、現実離れした幻想に惑わされることなく、地に足をつけた堅実な人間ばかりであったなら、地球はとっくに奪還できていただろう
とにかく、これで特化型逆元装置の生体データを得られる。理事会の連中も、黙ってリソースを捻出し続ける他はないだろう
ふむ、前置きが長くなった。本題に入ろう。これも改造条件のひとつでね……
ジョン·スミス。昇進おめでとう
——!——!
1!
——!——!
2!
——!——!
5!
先陣のクロムが立ち塞がる侵蝕体を斬り捨て、後に続く隊員たちが敵陣に斬り込む。だが、敵の数が増え続けていることに、クロムは違和感を覚え始めた
隊長、後ろ!
隊員の叫び声にクロムが後ろを振り向く。後方のゲートが落下したようだ。そして、その巨大な閉門音がさらなる侵蝕体を引き寄せた
……
戦略性があるな……特異体か……