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All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ソフィア

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紹介しよう、今回の新人だ

名前は……まだ知らんのだが、自分で言えるな?

……「ハイエナ」って呼ばれてる

爆笑する人

「ハイエナ」?何だそりゃ!?

理由もなく、こんな小さな子供を「ハイエナ」なんて呼ばないだろ

……

???

大将、どんどん条件が低くなってません?今回がガキなら、次来るのは怪我人ですか?

……

「ハイエナ」の怒気が今にも爆発しそうだ。アンドレはそっとその肩を押さえた

すまん、あいつに悪気はない

……

「ハイエナ」の肩から徐々に力が抜けるのを感じて、アンドレは安堵の溜息とともに手を離した

おい、クレッグ。俺の見る目を疑ってるのか?

ああ、そうか。つまり、お前が見込み違いだったってわけか。それともまさか、別のやつらのことを言ってるのか?

クレッグ

いえ、そんなことありません!

なら問題ないな。よかったじゃないか。ひょっとしたら、このチビのお陰で万年ビリッケツから脱出できるかもなぁ?

クレッグ

ひどいなぁ。そんなチビには絶対に負けませんよ

おお、言ったな

アンドレはしたり顔で「ハイエナ」の背中を押した

今日からは動力班の一員だ。クレッグ、お前が教えろ!

クレッグ

ったく……大将はなんだって俺に押しつけるんだ……

おい!お前!俺をビリッケツだと思って舐めるなよ!動力班の仕事は一番の重労働だ!

早速だが、今日、B区画の廃ガス回収システムの配管が故障した。お前、見に行ってこい

……了解

クレッグ

処理できるようならその場でやってくれ。無理なら戻って俺に言え

……メンテナンス工具はどこ?

クレッグ

おお、わかってるな。俺たちの仕事を見たことあるのか?あそこの棚の、モップバケツの横だ

……

「ハイエナ」は無言のまま工具セットを担ぎ、ドアを押して外に出た

整備部隊員

クレッグ、やりすぎだろ

部隊の決まりじゃ、廃ガス回収関連の作業は3カ月みっちりトレーニングしてからってことになってんのに……

クレッグ

それは右も左もわからない、ちょっとくらい毒ガスを吸っても死にゃしない新人向けの決まりだ

大将がなんであんなガキを連れてきたのか……絶対に理由があるはずだろ

万が一大将の見込み違いなら、ビリッケツの俺が大将の代わりに悪役にならないと

もちろん、そこら辺のガキみたいに泣きながら家に帰ってくれるのが一番だ。あの工具セットを売れば何日かは食えるだろうし、あいつにとっても悪いことはない

整備部隊員

大将になんか言われたらどうすんだよ……

クレッグ

どうにもなんないだろ。大将だって、新人が仕事投げ出して消えたら、まあいい気はしないだろうが……

……

昼寝をしているクレッグが油まみれの「ハイエナ」に気づいたのは、それから1時間後のことだった

クレッグ

うわ!びっくりした!……廃ガス回収システムはどうだった?

……配管に、これが詰まってた

「ハイエナ」は油まみれの布をクレッグに投げた。プリントされた整備部隊の紋章がかろうじて識別できる

クレッグ

かなり深くに詰めたつもりだったが……まさか、見つけるとはな

どうしてこんなことしたの?

私のこと、嫌い?

クレッグ

嫌いってことはないが、素性もわからないやつを押しつけられたんだ。使えるかどうか試さないとな……

まあ、悪かったな。大将に報告するなら、行けよ

……

クレッグと「ハイエナ」は互いの目を見つめ、心のうちを探った。その時、アンドレがドアを開けて入ってきた

クレッグ!やるじゃないか、新人に廃ガス回収システムを修理させたそうだな?

……!

で、どうだった?命を賭けるようなやつじゃなきゃ、お前は認めんだろ?だから、お前に任せたんだ

クレッグは降参するように両手を上げ、「ハイエナ」から視線を逸らした

クレッグ

合格です。どうやら、ビリッケツの「名誉」は当分俺のものみたいですね

そうか、お前がそう言うなら俺も安心だ。こいつについて、何より心配してたのはお前の態度だったからな

よし、万事オーケーだ!ほらチビ、お前の制服だ!……さっさとシャワー浴びて、汚れを落としてこい!全隊がお前のためにシャワールームを空けてるんだぞ!

「ハイエナ」が整備部隊に来てから、197日が経った。かつては時間というものを数えたことはなかったが、今の彼女にとっては毎日が覚えておく価値のあるものだった

鋼板とは比べ物にならないほど柔らかいベッド、腹を満たす食事。毎日6時間は眠ることができるし、2日に1回は熱いシャワーも浴びられる……

アンドレ隊長は大雑把に見えて、繊細な人だった。美味しい炒り卵を作れるし、いつも服を小さな女の子用に繕いなおしてくれる

そして、彼がとても大切にする「王家の証」のバッジ(いわく、正真正銘の本物であるらしい)を馬鹿にされない限りは、何事も気にしない鷹揚な人だった

クレッグ班長は、トレーニングの成績こそ下から一番を維持し続けているが、あらゆる備品がどこにあるかを知っている。頑固でケチで、そして目が悪い

隣の構造班のカチューシャ班長は、3人しかいない女性隊員のうちのひとりだ。重い物を背負い、誰よりも速く10kmを走る。

それから「ハイエナ」……いや、もう彼女を「ハイエナ」と呼ぶ者はいない。構造班のレナが「ソフィア」という新しい名前をつけたからだ

「ソフィア」は、アンドレ隊長の故郷の名前であるらしい。黄金時代の言葉で、「天からの贈り物」という意味があるそうだ

最近は、どこからか掘り出された黄金時代の映画を皆で一緒に観た

それから、アンドレ隊長はクレッグがそうするように、ソフィアにも自分のことを「大将」と呼ばせるようになった

ソフィアが整備部隊に加わって、198日目だ

きょうは……ソフィアがせいびぶたいにきて……字がわからない。とりあえず、ここは空けておこう

きょうは、ソフィアは……はじめて……アンドレ、たいちょうといっしょにしご……わからない、消そう……仕事に戻らなきゃ

そうだ……ソフィアが、はじめて……ぶたいと、いっしょに……しゃりょうのそとで、しごとを……

アンドレ

ソフィア!そろそろ出るぞ!

……続きは帰ってきてから書こう

はい!