Story Reader / 叙事余録 / ER08 追憶のピリオド / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ER08-2 残痕

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人間が近付いた時、背後の通路から風が吹き込んだ。微かに血の臭いが混じっている

直感でサッと身を翻し、背後の暗闇に銃を向けた

だが、通信機からはザーザーという微かな音しか聞こえず、バンジからの返事はない

異変を感じ、銃を握ったまま素早く数歩後退すると、バンジがいる部屋へ向かい、中を覗き込んだ

目に飛び込んできたのはバンジ――だが、どこか様子がおかしい。すると彼の背後の暗い空洞から突然侵蝕体が飛び出し、一気にバンジを引きずり込んだ

!!

条件反射のように――瞬時に飛びかかり、構造体が引きずり込まれる直前で彼の手首を掴んだ

しかし、その反射的な行動の結果は目に見えていた

人間と構造体は、ふたり揃って暗い穴へと引きずり込まれた。ドサッという音が響く

まだ頭がくらくらしながらもなんとか起き上がり、目の前のぼやけた黒い影に向けて銃を数発撃ち込んだ

銃弾を避けきれなかった侵蝕体に弾が命中する音が聞こえる。侵蝕体はバンジをきつく掴んでいた「手」をようやく放し、前方の長い通路の向こうへ素早く姿を消した

侵蝕体が消えた方向を見ると、侵蝕体の剥き出しの硬い構造物が床につけた痕跡だけが残っていた

次第に視界が正常に戻ると、少しだけ眉をひそめてリボルバーをぎゅっと握りしめているバンジが見えた。その表情はどこかぼんやりとしている

……!ああ、うん……

あの侵蝕体……何か変だった

こういう状況には、完全に適応したと思ったんだけど……

……わかった

前回リンクした時は穏やかな感覚だったが、今回はマインドビーコンを意識海に投入した途端、激しく波立っていることに気付いた

これまでは意識海に軽微な波があるだけで、アシモフも検査で問題はないって言ってたんだけど……こんなことは初めてだよ

さっき侵蝕体に接触したからかもしれない……うっ!

バンジの記憶データが突然制御不能になり、意識海が掻き乱される