Story Reader / 叙事余録 / ER04 遊英夢漂 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ER04-10 糸を織る者

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山の間に鐘の音がこだまする。山の中腹まで来たせいか、その音はずいぶんハッキリと耳に届いた

これで……4度目……

辺りはすでに薄暗い。麓は濃い緑に染まっていたが、標高が高くなるにつれ周辺の木々は紅葉し、秋の装いになっている

中腹のぐねぐねと曲がる道を越えてからは、含英たちの目の前に次々と新しい道が現れた。ふたりはなんとかこの秋色に染まる場所までたどりついたのだ

しかし新しい道が現れる度に、ふたりを阻む機械体も次々に出現した

あの鐘の音は機械体を制御している音響信号なのかもしれませんね

桟道は雲に包まれ、周囲の森を見渡せば古木ばかりが林立している

バーチャルの世界で戦っているだけなのに、なんというか……疲れますね

休憩しましょうか?

いえ、あの永遠にループしてしまう場所を離れてから、少なくとも数100mは前進できてますよね?

山頂まで、後どれくらいかかるんでしょう……

出発時にもらった資料だと、この山は標高約2000m

つまり、私たちはまだ半分ほどしか来ていないと

ええ。でもここに来るだけですでに半日以上かかっています

あの老人と出会ってから、含英は少し焦り出していた

「彼ら」が彼女に対して興味を持った?

「ゆりかご」はなぜ悠悠をここに誘導した?

彼女の過去の記憶が疼く

あの日、「ゆりかご」は悠悠を人質に取り、自分にあの下劣な目的をやり遂げろと脅迫した

あの日から悠悠は自分の記憶と引き換えに、人としての資格を失い、構造体になってしまった

このままでは――

ゴ―ン――ゴ―ン――

様子がおかしい、含英、周りは……ない……気をつけて……

データが歪んでシブナの体が少しずつ薄れだし、何かを言いかけたまま消えていく

シブナさん!

含英はシブナの手を握ろうとしたが、その手は空をつかむだけだった――

彼女自身の手も、夕日の下でゆっくりと消えかけている

???

そう、このままではまずい

お前たちを見送ってやろう

質問の答えは、自分たちで見つける必要がある……