Story Reader / 叙事余録 / ER01 遥かなる方舟 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ER01-11 封じられた宇宙船

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――ロジック回路チェック:正常

――記憶装置確認:異常なし

――感情アナログモジュール状態チェック:オフ

――環境モニタリング:正常

――全システム正常運転

会議記録中――

――参加メンバー確認:アルカナ、ネヴィル、ゼロ、シブナ、ハカマ

ガラス越しの光が教会大広間に座るアルカナの体に降り注ぎ、近寄りがたいオーラを発している

機械教会のほとんどの主要メンバーが集まっていた――ハカマとシブナが持ち帰った「赤潮」データが共有されると、大広間の空気が更に重苦しくなった

大広間が沈黙に包まれていたその時、輝ける行進者がその静寂を破った

今こそ行動を起こす時だ!

赤い海が我々を飲み込むのを座って待つのか?それとも人間に滅ぼされるのを待つのか?

――リサーチ

――話者:輝ける行進者、コードネーム「戦車」、二代目

感情アナログ分析――

――感情:憤怒、焦燥

ネヴィル

いや、カガちゃんが新しい「戦車」として行動を示したい気持ちはわかるけどさ!

反対側の椅子につまらなさそうにもたれていた男性機械体は突然跳ね起き、興奮したように話を続けた

――リサーチ

――話者:ネヴィル、コードネーム「魔術師」、「国王」と同じく「方舟計画」の責任者

――機械教会内の修理と技術開発を担当

感情アナログ分析――

――感情:正常値を超えた興奮状態

ネヴィル

カガちゃんの機体を見てみろよ。屈強でセクシーなライン、イナズマのようなスピードと混沌をも砕く怪力。あの全パーツは俺がこの手でつけたんだぜ

それとこの武器!カガちゃん、俺の最新作を皆に見せてやれよ――この、炎を閉じ込めたような刃!まさにスターの輝きだぜ!

輝ける行進者がネヴィルの演説に合わせ、武器を掲げた

――用語リサーチ

キーワード更新――

――輝ける行進者:セクシーなライン、イナズマのようなスピード、怪力

――アップロード完了

ゼロ

ゲゲッ……遅くなっちゃった。ネヴィル、まーたそのオモチャをダイマしてるの?

地面に置かれた黄金時代の蓄音機型のスピーカーからゼロの声が流れ出た

ププッ……

――リサーチ

――話者:シブナ、コードネーム「死神」、主に機械教会内の建設と偵察任務を担当

感情アナログ分析――

――感情:嘲笑

ゼロ

このまま待ってたって、セージ様は空から降ってきたりしないよ。とりあえずさ、盛大な歓迎儀式を用意しようよ!

戦車……ああ、初代の戦車のことだけど、あれ、手に入れたんでしょ?

とりあえず今あるものを使って、浮いているあの庭園も手に入れて、プレゼントとしてセージ様に差し上げればいいかなって……

私はもう決めてるの。ゼロはロマンチックな薔薇の花びらとともに登場し、真摯な愛情でセージ様をお迎えする――

――リサーチ

――話者:ゼロ、コードネーム「恋人」

――教会の核心メンバーの中で、唯一セージ·マキナの壁画から直接啓発を受け、自ら教会を訪ねて加入した機械体

――主にセージ·マキナの一連の行動のシミュレーションを担当する

感情アナログ分析失敗――

……

あらあら……皆さん頑張っていますね。ご苦労さま

――リサーチ

――話者:アルカナ、機械教会の指導者

感情アナログ分析失敗――

初代戦車の功績を忘れたりはしません

ネヴィルも「方舟計画」のために多大な貢献をしてくれています

ですがハカマとシブナのデータから新事実がわかりました。地球の状況は更に厳しく、無目的な行動は入手できる資源を減らすだけでなく、機械教会の存在を人間に知られてしまう

皆に正しい方向を示せるのは、セージ·マキナだけです

でもゼロはひとつだけ、正しいことを言いました

――今こそセージ様を迎える時だということです

パニシングが見せた「進化」で、空中庭園内部に大きな変化が起きています。空中庭園の防御力が最も弱っている今こそ、機械教会が資料や建築資源を奪う絶好のチャンスです

人類はやがて滅びます。この星の新たな主宰者――覚醒機械として、彼らが資源を浪費するのは見すごせません。行動を起こせばセージ様も現れるでしょう……あの遠く離れた星に

アルカナはそう話すと目を閉じた。まるでどこか未知なる時空でその光景を目にし、予言をするかのような囁きだ

ゼロ

マジで――!本当?

ネヴィル、あの戦闘コルベットは……

ネヴィルは輝ける行進者から皆の注意が逸れたあと、まただらけた姿勢で座っていたが、話しかけられてようやく目を開けた

ネヴィル

とっくに修理できてるぜ~

皆に説明してあげて

ネヴィル

えー……こういうの、国王の仕事なんじゃないの。命令を出すの、一番得意だろ?

俺たちにはエデン1型の実験用コルベットがある。骨董品だったが俺サマの手で新品同様だ。空中庭園のやつより強いとは言わないが、基本の戦闘性能はバッチリだ。それに……

ネヴィル

ネヴィル

……はいはい、空中庭園で生産されたコルベットだから、保有するコードで空中庭園の識別システムは騙せるはずだ。人工識別さえ回避すれば、結構な時間を稼げるはずだぜ

旧型のコルベットだから、その単体火力では大規模戦闘はできない

もちろん俺たちの武器はそれだけじゃない

ゼロ

私も連れてって!セージ様を迎える時、私がいないでどうするのよ……

この任務を遂行できる適任者は俺だけだ

輝ける行進者は自信満々に胸を反らせ、その腕を振り上げた

人類が我々に攻撃するより先に、こちらから撃ち落としてやる!

ネヴィルは肩をすくめ、彼に賛同の意を表した

ゼロ

えー、ちょっと……あのウザったらしい赤い水のせいで、私がこんな絶好のチャンスを逃すっていうの!?

ネヴィル

カガちゃんには光学迷彩のシールドが搭載されている。コルベットが空中庭園の範囲内に接近できれば、俺たちは秘密裡に侵入できる

空中庭園にファイアウォールがない訳ないでしょう?

ネヴィル

準備は万端さ。世の中のあらゆる話を信じないってのは自由だけど、このネヴィル様を疑うのはセンスがないぜ

男性機械体は得意気に顎をクイッと上げた

ネヴィル

空中庭園のファイアウォール――あのゲシュタルトを騙くらかすプログラムを作った。長くは持たないが潜入用に一瞬だけ高精度の攻撃を仕掛ける。結構細かい作業だけどな

シブナの口角が一瞬ピクッと引きつった

輝くキンピカさんに細かい仕事が向いているとは思えませんがね……

ハカマ

……

ずっと黙って立っていたハカマは自分が呼ばれたことに少し驚いたが、すぐに返事をした

はい

あなたはどう思います?

輝ける行進者のセクシーさとイナズマのようなスピード、怪力に鑑みるに、彼は最も戦力が高いメンバーと分析します。彼の引率が一番合理的であり、同時に……

ゼロ

彼女に訊いても意味ないよ。こっちに訊いてよ。はいはい、行きたいで~す!私を工具箱に詰めこんだっていいから、セージさ……

ゼロの話が急にシャットダウンした。ずっとうるさくわめいていた蓄音機がオフラインにされ、ようやく静けさが戻った

アルカナは笑顔のままで、ハカマを見つめた

――データロジック分析中

——

――ロジック分析完了

……演算したプランは、機械教会にとって最も合理的行動だと考えます

あら、そうなのですね?

アルカナは他のメンバーに顔を向けた

それなら、侵入任務は「隠者」に任せるとしましょう

――他のメンバー同様、ハカマにも自分のコードネームがある。しかし「ママ」から「隠者」と呼ばれるのは初めてだった

「智慧、孤独の象徴、闇の中で真理を求める……」

「隠者」なら、必ずや任務を成し遂げるでしょう

ハカマ……

はい「ママ」。異存ありません

「ママ」は立ち上がると光の下へ歩いた。彼女は機械教会の子供たちを抱擁するようにふわりと両腕を広げた

我が子供たちよ……「月」の泣き声が聞こえます。「星」の歌声が聞こえます。「太陽」も私たちに向かってきています

まもなく「世界」は眠りにつきます……その前に、旅に迷える「愚者」を、家に連れ戻しましょう