――笛吹きはドラゴンを操り、大地に死と絶望をばら撒いた
――勇者は必ず困難や危険に打ち勝ち、大地の彼方まで行き、ドラゴンを退治する
――人々が望んだように、勇者は邪悪な笛吹きを打ち倒し、物語は幸せな結末を迎える
こんな物語になるのだろうか?
あの災厄の響きはこれほど優しいのに
魔力に満ちた笛の音は遠くまで響く。まるで世界の果てに向かって荒地を歩き回るひとりの詩人が、旅の途中で奏でるような美しい音楽だった
笛の音にはなぜ災難が伴う?なぜ笛吹きは吹くのをやめない?それは警告なのか、それとも助けを求めているのだろうか
真実と偽りがこの瞬間に重なった
あの現実のクジラの歌とこの幻のような笛の音……これも同じように応じてくれるのを待っているのだろうか?
これらの疑問には答えはない。しかしドラゴンと同行する笛吹きが全ての謎を解くキーワードだとはっきりわかった