考えごとをしていたロゼッタのもとに、空中庭園から通信要請が入った。先ほどの疑念を払拭するように深呼吸をすると、通信に応じた
ロゼッタ
はい
通信は問題なさそうだな。では簡潔に話す
新型補機の実戦データが欲しい。そのテストのために、お前とのリンクを考えている
……?
通信越しに迷っているロゼッタの様子をおかまいなしに、アシモフはコーヒーをひと口飲み、話を続けた
再建作業中なのは知っている。だが、この補機はお前でないと駄目だ。そのわけは……まあ、見ればわかるだろう
……了解
では、周囲を確認後に、すぐ補機をお前の座標に投下する
降下ポッドによって舞い上がった塵が落ち着き、セキュリティキーがロゼッタの声を認証すると、中から補機が現れた
……これは!
新しい補機と聞いていたが、ロゼッタはそれをよく知っていた。長い年月をともにした、守林人の証——
見た通り、このプロトタイプの補機のデータは、お前のケンタウロス——「迅竜」の機械装備から抽出した。お陰で戦闘力が大幅に上昇したんだ
空中庭園の技術には偏りがあってな。そのせいで九龍戦役後、お前はずっと人型で活動し、迅竜もさまざまな理由からメンテナンスが必要だったんだ
だが補機の技術が発展し、ようやく迅竜をその地へ戻すことができたのさ
……
……ああ、無断でデータを抽出し、ある程度改造を行ったことについてだが——
構わない。それも協力する条件のひとつだから
ここまで修復してくれただけで満足よ
感謝する
……ああ
起動された補機は頭を下げ、ロゼッタを見つめる
でも、ひとつだけ頼みがある
なんだ?
昔の姿で戦場に行くことはもう二度とないと思っていたけれど
これを見たら希望が見えてきた。私と補機を一体化させることはできる?
……亜人型の構造はかなり負担を与えるぞ。大丈夫か?
ええ
……
わかった。こちらとしても新型補機の実戦データが得られたらそれでいい
データの収集が終わり次第、俺が調整しよう
まずは準備作業から始めよう
……よろしく