その後、ビアンカはティニーを空中庭園に連れて帰った
それから数日ののち――
粛清部隊、ビアンカ、参りました
来たか
ご用件は?
お前がティニーを連れ帰ってくれたから、引き続き被験者を探して再度実験をする予定なんだが
だが、指示に対してティニーのレスポンスが目標値より明らかに低い
アレンによると、ティニーはすでに「主人」を決めているのかもしれないということだ
だから、お前を呼んだんだ。任務時の状況について教えてくれ
………………
………………
わかった、なるほどな
だから戦術装備にバイオニックの要素を多く投入するなと言ったんだ。今はビアンカ、お前以外に対する積極性が明らかに低い
この問題については猛省したうえで、今後の課題だな
今回の戦いで、ティニーの戦闘能力と同期率のデータが過去最高値を記録した
だが、仮に戦術装備が特定の者の側でしか最大の役割を果たせないのなら、戦術装備としては欠陥品といえる
全戦闘員が最大の効果を発揮できる装備を作ることが俺たちの任務だからな
仰ることはわかります……
しかし……先ほど俺が言ったように、事実、ティニーは特定の条件下で最大の効果を発揮する能力を持っている
よって、今後任務を遂行する際は、可能な限りティニーの同行を頼む、ビアンカ
……?
表出した効果と潜在能力は無視できないものがある。お前とティニーの協力によって十分なデータを得ることができれば……
同様の効果を再現できるかもしれない。つまり、俺たちの任務とは矛盾しないということだ
つまり……これから私はティニーと一緒に戦えるということでしょうか?
ああ、毎回の戦闘データの記録と分析はお前の主任務となる
承知しました
早速、ティニーに会いに行くか
はい、行きましょう
………………
————
ティニーはラボ内の人工庭園の中央に立っていた
静かにそこに佇み、いつもと様子は変わらない
かつて、自力で生きる力を持たない生物が、独力で生きられるようにと生まれた存在
異種として扱われ、ボロボロになり荒れ果てた大地に埋もれてしまった
でも今は、自分と同じような境遇の存在が近くにいる
その存在は、ティニーの世界を広げた
根拠のないただの直感から、ティニーは彼女がきっとまたここに来ると感じていた
——彼女はきっと、自分の世界を、もっと完全なものにしてくれる