<i>「あなたへの信仰を持たぬ者の忠誠を捧げる」</i>
チクタク、チクタク――針が回る音が、静まり返った夜にはっきりと響く
正午を知らせる鐘の音がホール全体に響き渡った。しかし、窓の外は暗いまま――普通なら、今は太陽が最も空高く昇っているはずなのに
翼を収めたルナは空中から舞い降りて、ホールに入った
相変わらずね。太陽が昇る兆しはまったくないわ
「神の心」が2度目の変化を遂げたあと、自分とルナは黙示録の力によって3つ目の世界である「理想郷」に入った
神が堕ち、太陽が後を追う 世界は眠りに落ち、永遠の闇に沈んだ 万物は成長を止め、魂は守護を失う 迷える旅人よ 凝り固まった果実を再び成長させたくば―― 神の遺跡を探し、神をその玉座へ導け
これが黙示録が示した導きだ
裏付けがとれたから、その通りに動くしかないわね
体はどう?
「人間界」の最後の業火は、ふたりの体に火傷を残した。理想郷に入ってからしばらく経っていたが、いまだに自分の傷だけはなかなか治らない
もう治ったわ
悪魔の力は、もともと闇に由来するからかも
回復するまで無理しなくていいから、今回は……私に任せて
今度は、私があなたを守る番よ
これは、ルナが口に出さなかった心の声だ
言い終わる前に、腕に激痛が走った。業火による火傷の傷が謎の力によって引き裂かれ、血が滲み出てきた
そして、先ほどまで僅かに芽を出していた黒い植物が、隙をついて上へと伸び、裂け目から肌を突き破った
何が起こっているの?
この不気味な傷に気付いていなかったルナは、血相を変えて訊ねた
うわぁ……すごく恐ろしい傷ね
またしても暗がりから傍観していたチェシアが、タイミングを見計らったように姿を現した。しかし近付く間もなく、ルナの攻撃で後退させられた
あなたの仕業!?
ルナの心には抑えきれない怒りが湧き上がっていた。またしてもチェシアに仕組まれた怒りと焦りが相まって、全ての感情がこの瞬間に爆発した
[player name]の傷は業火のせいでしょ。私は関係ないわよ?
私はあなたたちの助けになろうとしてるのよ。傷口を切り開かないと、棘が骨に沿って伸びて心臓に達し、最後には窒息死するわ
ただ――
チェシアはルナの背後に回り込み、わざと耳元で囁いて挑発した。ルナの反応が激しくなるほど、彼女はその様子を楽しんでいるようだ
今の状況もかなり辛そうね
日光がないから棘は狂ったように成長して、どんどん絡みつくわ。最後は[player name]の全身に絡みついて締めつけ、そして全てを呑み込む
チェシアが言い終わると同時に、ルナは更に猛烈な攻撃を仕掛けた。その一撃一撃に全力を込め、悪魔の少女を倒そうと迫る
くっ……!
だったら、あなたの命でその成長を抑えてやるわ
チェシアに焦った様子は一切見られない。ルナの欲望の一部――その集まりである彼女は、躱す方法を熟知している
私を殺しても意味ないわよ。この棘は「神の心」が腐り続けている結果なんだから
この問題を解決しない限り、あなたは[player name]が死ぬのをただ黙って見てるしかないのよ
それを聞くとルナは無意味な戦闘をやめ、元の場所に戻って新しくできた傷口を確認した
……確かに「神の心」と同じ気配がするわ
チェシアは本当のことを言っている
「神の心」はリンクしている両者に影響を与える。これはずっと変わらない
最後の業火の中、「神の心」も炎に包まれた状態で太陽の昇らない理想郷に入った。そこから腐敗が始まった
でも、私の体に異常はないわ
闇夜はもともと悪魔のホームグラウンドでしょ。それにあなたの傷はもう治ってるんだから、何も起こらなくてもおかしくないわ
知ってることは全部教えてあげたわよ。お礼は?
今回は何が目的なの?
もう、何度も言ってるじゃない。早く私を受け入れて。私が全てを解決できる強大な力を与えてあげる
[player name]の状況がどれほど深刻か、わかってるでしょ。それでもこのまま放っておくつもり?
それならもともとの計画通りね
ルナは賛同した
救いようのないほど頑固ね……
まぁ、せいぜい頑張ってみて。できるものなら、ね
チェシアは結論を急ぐことはせず、謎めいた微笑みを浮かべてその場を去った
そのあとは予定通りに遺跡を探した
しかし、棘の成長は思ったより早かった。残された時間は少ない
上の埃が拭き取られてる。それにこの紋様は遺跡と関係がありそうね
ルナは手を伸ばして目の前の石碑に触れた。そこに刻まれた紋様は、彼女が収集した古文書の中で見たことがある。神殿の結界を示す目印だ
長い間必死に探し続け、ようやく手がかりを見つけた。最初はふたりで手当たり次第に探すしかなかった。休憩の時でさえ、ルナがひとりで探索を続けたこともあった
幸いにも最近、神に関する神物や書籍をいくつか発見したお陰で方向性が明確になり、調査は順調に進んでいた
本に書いてある通りなら、目印は神殿からそう離れていないはず。もうひとつの石碑を見つければ、具体的な範囲を特定できる……
[player name]?
思考に没頭していたルナは、隣の人がいないことに気付いた。振り返ると「その人」は木の幹に寄りかかり、しゃがみ込んでいた
また傷が悪化したのね
ルナが傷の様子を確認すると、黒い棘の成長が更に早くなっていた
棘はすでに[player name]の片腕を完全に絡めとり、他の部位にも侵食しつつあった
さっき棘が伸びた時、なぜ教えてくれなかったの?
ルナははっきりと覚えている。前に傷を確認した時、棘はここまで伸びていなかった。[player name]が道中ずっと黙っていたのは、痛みを我慢していたからだろう
……残された時間はどんどん少なくなってる
あなたはここで休んでて。私はもうひとつの石碑を探してくる
あなたの傷と「あれ」に訊いてみたら?ちょっと休みませんかって
ルナは優しい言葉を考える余裕などなかった。心に湧き上がる心配と焦りが鋭い言葉に変わり、無意識のうちに口をついて出た
彼女はかなり焦っており、少し責めてもいた。なぜもっと早く教えてくれないのか、なぜ傷を無理やり隠すのか……なぜ自分のために、そこまで苦しみを受けるのかと
手を伸ばして、固く握りしめたルナの手の平を開こうとした。その手には、彼女が先ほど傷を確認した時に切り落とした棘が握られている。ルナの手が刺されて出血していた
こんなことをしても意味がないとわかっている。いくら棘を切り落としてもすぐにまた生えてくる。それでも彼女は毎回、同じこと試した。少しでも痛みが和らぐことを願って
刺されるのが私だったらよかったのに
これは私が受けるべき苦難。あなたが受けるべきものじゃない
自分の苦難を人に押しつけるなんて、弱者のすることよ
……信頼ってやつね
ルナは悪魔である自分にそんなものがあるわけないと思っていた。しかし「この人」と一緒にいるうちに、その気持ちが揺らいでいた
こんなにも複雑な感情が湧いてくるのは、目の前にいる「この人」に対してだけ
しばらく葛藤したあと、ルナは後退を選んだ。彼女が無理に行こうとしても「この人」がおとなしく休むはずがない。辛い体を引きずり、ついて来ようとするだろう
そのせいで傷が悪化して、怪我人の世話をするなんてごめんだ
わかったわ。今日は引き返しましょう
あなたの状態がよくないから。ほら手を出して、引っ張ってあげる
うるさいわよ
うだうだ言うなら、ここに置いていくわ
ルナは待つことに耐え切れず、近寄って自ら手を取ろうとした
高く生い茂る草むらを通りすぎる時、ルナの服が鋭い棘に引っかかった。彼女が棘を抜こうと身を屈めたその時、茂みの中であるものを発見をした
[player name]、これを見て
ルナは茂みの中に落ちていた衣の切れ端を手に取った。白地に金色の模様が施されており、どこかで見覚えのあるデザインだった
そのようね。彼の気配がまだ残ってる
これは朗報ではない。この辺りには誰も来ないはずだ。ルシフェルの痕跡があるということは、彼も神の遺跡を探してるということだ
今まで、彼はいつも「神の心」絡みで邪魔をしてきた
今回も多分、同じことを考えているはず
しかし「神の心」は自分たちの手の内にある。腐敗のせいで何もできないはずだ。こんな状況で、ルシフェルは一体どのような企てをしているのだろうか
どうしたの、おふたりさん。お手伝いしましょうか?
隠れていたチェシアが姿を現した。恐らくここで長い間待っていたのだろう
[player name]、戦闘準備を
もう、そんな怖い顔しないでよ!喧嘩を売りに来たわけじゃないの
あなたたちが気になっている問題の答えを、私は知ってるわ
言い終えると、チェシアの指先から血の色をした暗い光が放たれ、真っ直ぐに「神の心」に刺さった
何をするの!?
そう焦らないで。手は出さないから
ちょっとヒントをあげるわ。扉を開くのよ。そしたら……あなたたち自身で答えを見つけられるわ
もうすぐ、私が見たかった結末が幕を開ける
素晴らしいシーンになるでしょうね
ひとつ目の石碑が突破口となった。その後、更に重要な手がかりをいくつか発見した。ルシフェルの痕跡もあったが、それは悪い知らせというだけでもない
少なくとも、現在の探索の方向性が正しいという証明にはなる
棘は狂ったように成長を続けている。「神の心」の腐敗も深刻さを増していく。時間との戦いだった
ここよ
ようやく目的の建物の前にたどり着くと、ルナの焦りは少し和らいだ。この神殿遺跡の入口をくぐれば、失われた神を見つけられるだろう
ルナは隣にいる自分を見た。これでようやく棘による苦痛も終わる
入口への道は平坦だった。石畳を少し歩き、神殿へと足を踏み入れた。古い石壁は崩れ、瓦礫が散乱している。かつての神が残した跡はどこにも見当たらない
集めた情報によると、神殿の中には神の肖像画が保管されているはず。それが唯一の手がかりかもしれないわ
行きましょう
ふたりは神殿の奥へと進んだ
最後の部屋に入ろうとした瞬間、ルナの胸に突き刺さるような激痛が走った。彼女は扉の前に跪き、息が荒くなった
ルナは苦しみながらも部屋の中を見ようと顔を上げた
私のことはいい……くっ……早く、扉を開けて……
私の本能が……そうすべきだと告げてる
ルナに言われた通りに急いで部屋の扉を開けた。それとほぼ同時にルナは痛みから解放された。先ほどまでの異変が嘘のように消え、ふたりで部屋に足を踏み入れた
上方のステンドグラスは全て砕け散り、不規則な破片が祭壇や床に散乱している。部屋の内外で燃えている松明の光が混ざり合い、不気味で異様な雰囲気を作り出していた
壁にかけられていたであろう神の肖像画は床に落ちていた。破片がキャンバスを引き裂き、描かれた人物をひどく歪んだ形にしていた
なっ……
絵の中の少女は純白の衣に身を包み、太陽の光よりも眩い聖なる存在だった
同じ人が今や闇夜の黒と紫に包まれ、悪魔の翼を持っている。宝石のように澄んだ美しい赤い瞳は血に飢えた真紅に変わり、驚きと戸惑いを湛えて、絵の中の瞳を見つめていた
堕落した魂よ。あなたはかつて清らかだった自分の瞳を見つめることができますか?
ルシフェルが部屋の隅から姿を現した。どうやら彼は先にここにたどり着き、長い間我々を待っていたようだ
苦しみを感じますか?それは、あなたに捨てられた「心」からのあなたへの問いかけです!
あなたに囁いているのです。もしあなたが堕落していなければ……本来のあなたは、この絵のように高みに輝き、万人に崇められる存在なのです
今のように忘れられ、引き裂かれ、冷たい床に投げ捨てられ、闇に呑み込まれるべきではなかったのです……
私は神に最も忠実な信者……神の全てを知り尽くしています
しかし……私は全てを神に捧げたにもかかわらず、神は私を見捨てたのです
ルシフェルは怒りに任せてルナを指差し、心の中に渦巻く感情を吐き出した
苦労して神の居場所を突き止めた時には、神はすでに堕落していました。神は悪魔と化し、邪悪な誘惑に溺れ、純真な心を失っていました
神はもはや神であることに値しないのです
かつての神にその資格がないのなら、私が新しい神になってもいいではありませんか?
私の信仰は誰よりも敬虔で、私は誰よりもこの座にふさわしい
この世界には神が必要なのです。迷える子羊には、私が必要なのです。この世界には、私が必要なのです!
ルシフェルは、もはや目に宿る欲望と狂気を隠すことはできなかった
あなたの馬鹿げた期待を背負う義理はないわ
もしあなたの狙いが、この力なら――
私と戦って、あなたが言う「資格」を示せばいい。勝利という形でね
「神」の正体を確認した今、一番重要なのは永遠の夜と「神の心」の腐敗を解決することだ。暴走するルシフェルなど、これらの問題に比べれば些細なことだ
逃げるのですか?そうはさせませんよ
神の座に戻るには祭壇、神物、聖水の3つが必要です。どれが欠けても叶いません。そして、これらは――
あなたたちがここにたどり着く前に、私が全て破壊しておきました。二度と修復できないほどに
やはりルシフェルが再び現れたのはルナを糾弾するためだけではなく、別の目的があったのだ
それに……私は知っていますよ。あなたの傷はもうそろそろ限界でしょう?
ほら、黒い棘が心臓に刺さる頃ではありませんか?あなたが死ぬのは時間の問題です
彼は再びルナを直視した
私は知っていますよ。あなたがこの人を大切に想っていることを。だからこそ、解決策をずっと探し求めていることも
でも、あなたはもう神には戻れないのです。しかし、私ならできる。神の力を私に与えればいいのです。私が新たな神になった暁には、この人の傷を治してさしあげましょう
今この状況で……
その言葉を信じろと言うの?
ですが、あなたに他の選択肢はありませんよ。そして、大切な人を見殺しにすることもできない。そうでしょう?
そう言い終えると、ルシフェルは不気味な笑い声を上げた。まるで自分の勝利の結末を予見しているかのように
少しためらったあと、ルナは再び口を開いた
だったら……今誓いを立てて、証としなさいよ
私は新たな神の名にかけて誓います。必ずやあなたとの約束を果たすと
これでいいでしょう?さあ、早く神の力を!
ルシフェルは我慢できずに急き立てた
私の力は全て「神の心」に封じ込めてある。欲しいなら、どうぞ
ルナは手に持っていたリンゴを放り投げた。ルシフェルは慌てて手を伸ばし、それを必死に受け取った。自分が床に倒れたことさえ気にしていないようだった
「神の心」……力……
これがあれば、私は神だ……ハハハハハハ!
彼は完全に腐ったリンゴを掲げて、まるで至宝を手に入れたかのように恍惚の表情を浮かべて口付けをした
しかし、ルシフェルの予想とは裏腹に、彼の夢を叶えるはずのリンゴは瞬く間に彼の体を蝕んでいった
ぐぁぁっ!?
彼の腐った傷口から黒煙が立ち上り、腐ったリンゴに吸い込まれていく。体も魂も喰らわれていくルシフェルは、まるで無数の蟻に食い荒らされているようだ
それでも、彼は腐ったリンゴを手放そうとしない。自分の来世までも、そのリンゴを道連れにするかのように
あ、あなたたちの陰謀だ……!最初からこの邪悪な力で、私の神の力を奪おうとしていたのですね!
「神の心」は悪意を持つ生命を呑み込むの。悪の意思が強ければ強いほど、呑み込むのも早くなるわ
自業自得ね
「神の心」はルシフェルを瞬く間に吞み込んでいった。ルシフェルが次の言葉を発する前に、彼の体と魂は黒い煙と化してリンゴの果実に吸い込まれた
わぉ、なかなか見ものね
チェシアが姿を現し、目の前の光景に拍手を送った
どう?私からふたりへのプレゼント、気に入った?
あなたは最初から、ルシフェルの企みに気付いていたのね
もちろん。そうじゃないと、どうやって解決策をあなたたちに教えられるの?
少女は笑いながら浮かび上がり、空中で寝転んだ
彼はどうして「神」になることに執着してたんだろう?太陽がなくたって、夜も神秘的で素敵じゃない?
あっ、ごめーん……[player name]にとっては、夜はそんなに魅力的じゃないよね
チェシアは傷口から生えた黒い棘をちらりと見た
全てあなたが仕組んだことね。全てを破壊したのちに、私の正体を知らせる
全て、私の逃げ道を断ち切るため
全てを解決するには神を見つけ出し、太陽を再び昇らせるしかない――しかし神の正体を知った今、彼女は再び戻ることもできず、もはや打つ手はない
私は何もしてないわよ?
だって両手が血と泥にまみれてたら、私を抱き締めてくれないでしょ?
もう、そんなに怒らないでよ、まだ道が残ってるでしょ?あなたたちの目の前に
私を受け入れて、ルナ。あなたが欲している力が手に入るわ。「神の心」のためにも、[player name]のためにも
私が欲しいのは「光」よ。「闇」じゃない
「光」に通じる道が全て失われた今、もう「闇」に堕ちるしかないでしょ?
あなたが欲しい人を道連れにすれば、暗闇だって最高に楽しい狂宴の地になるわよ
夜の影響で、棘がまた成長し始めた。一層激しい痛みが心臓を襲う。これ以上、もう我慢できそうにない
どうする?[player name]はもう限界みたいだけど
......
少女の手がそっと握られた。この妖しい闇夜で、その手の平から伝わる温もりだけが唯一の真実で、信頼できるものだった
ルナは目を閉じ、しばらく考え込んだ
この感覚は、彼女に多くのことを思い出させた。かつての失明、昏睡、混沌、永遠の夜
しかし今は、たとえ闇の中でも前へ進む支えを見つけた
かつて、それを頼りに彼女は一歩を踏み出した。長い道のりを歩き、最後にはしっかりと握られたその手によって、彼女の世界は再び光を取り戻した
そして今、彼女はこの世界に光をもたらそうとしている
「月」……
私が再び太陽になることはできない。なら、太陽を過去に捨て置けばいい
月の光も、闇夜を照らすことができる
たとえ高く掲げられていても、孤独でも、彼女は彼女なりのやり方で暗闇を抱き締め、永遠の夜と和解することを選んだ
働く人間、育つ植物、そして森を駆ける動物たちは、月が昇ることに驚きを覚えるだろうか?また、すでに失われた太陽を恋しく思うのだろうか?
それらは、もはや重要ではない
やがてこの世界は、黒夜に現れたこの清らかな光に適応し、彼女の優しさを受け入れるだろう
しかし、月は忘れない。まだ輝き始める前に、人に認めてもらう前に、その白い光を最初に見つけ、彼女のために身を投げ出そうとしてくれた人のことを
それは彼女の永遠の夜を照らす唯一の光
欠けていた純白が再び満月に戻る。絶え間なく流れる映像がルナの記憶に流れ込み、心臓が高鳴った
腐った果実が再び成熟し始めた。まるで枯れ木が春を迎えたかのように
ついに、黄金の光を放つ「神の心」が浮かび上がり、黙示録は最終章を迎える
神殿が荒れ果てていても、それは祭壇であり、彫像が崩れ落ちていても、それは神である