Story Reader / 祝日シナリオ / 静刻に誓う心言 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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ドールベアと過ごす時間

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ある忙しい午後、慌ただしいスケジュールを終え、ようやく休憩室のソファでひと息つける時間ができた

テーブルに置かれたチェリーソーダのキャップを開けると、爽やかな「シュッ」という炭酸の音が響き、午前中から溜まっていた疲れを吹き飛ばしてくれた

人工香料が新鮮なチェリーの味をうまく再現していて、甘みの中に微かな酸味のある味わいが爽やかで、思わず一気に飲み干した

体は自然とクッションに沈みこみ、その柔らかさに身を委ねながら、ゆっくりと昼下がりの夢の中へと落ちていく……

……

??

バックエンドの皆は死ぬほど忙しいって時に、よく「元凶」であるあなたがサボれるわね?

少し冷たくて柔らかい感触によって、夢から引き戻された。目を開けると、ドールベアの人差し指が自分の額に触れていた

彼女の表情はいつもと変わらず感情の起伏は見えないが、珍しく焼き菓子のような甘い香りが漂っている

「元凶」という言葉を強調したこと、そして普段は説明など割愛する彼女が回りくどい言い方をしていることから、彼女は「演技」をしているのだと確信した

知らないの?あなたが寝落ちて、前回の任務の重要な実験データを提出し忘れたせいで、空中庭園のファイアウォールが突破されたのよ

今、皆が血相を変えて、あなたを探し回ってるわ

言い訳したところで、もう取り返しはつかないわ

怒り狂ったプログラマーたちから逃れるには、私の休憩室に隠れておくしかない

これから午後いっぱいは、どこにも行かないで

ドールベアの腕時計型端末から投影された画面には、確かに「警告」という大きな文字が流れている

彼女は首を傾げ、「ね?ホントでしょ?」と言わんばかりの表情でこちらを見つめた

何が?

……ふふ

言い終わる前に、彼女は小さく笑った

数日会わないうちに、ずいぶん口が上手くなったわね

まぁ、こんなことじゃ騙されないとは思ったけど

彼女はゆっくりと眉間を緩め、背後に隠していたタブレット型ミニ端末をこちらに投げ渡してきた

真実が知りたいなら、自分の目で確かめて

端末に暗証番号を入力し、任務通知記録のモジュールを起動して、慣れた手つきで自分の名前の下にある「最新通知」をタップした

すると、「緊急任務」という真っ赤な文字が目に飛び込んできた

あなたって、本当に運が悪いわね

前回は全員の抽選で、今回は誕生日当日にレポート提出必須の緊急任務だなんて

こっちは朝早くから、ベーキングパウダーとアイシングシュガーを買いに行って、あの面倒な兄に頼んでまで保全エリアの新鮮なチェリーを手に入れたのに……

あなたのせいで全てが台無し。どうしてくれるの?

彼女から焼き菓子の香りがしていたことに合点がいった

私、「次」っていう言葉が一番嫌い

言いきらないうちに、ドールベアに遮られた

欲しいものは、すぐに手に入れたいタイプなの

[player name]は知らないの?賞味期限切れのチェリー缶は、二度と元の味にはならないのよ

ドールベアはいたずらっぽく笑いながらこちらに近付くと、光を放つ端末を奪った

でも、ごめん。これも嘘

あなたが寝てる間に、面倒な任務は私がやっておいた

だってあなたってば、私のチェリーソーダは勝手に飲むわ勝手に寝るわ、私が用意したサプライズには気付かないわで腹が立ってきちゃって……

だからちょっといたずらしたの。許してくれるわよね?

彼女の笑顔は、彼女から漂う甘い香りのように危険な感じがしたが、どうしても目を逸らすことはできなかった

それで……今日1日、どうやって埋め合わせしてくれるの?