忙しい一日が終わって部屋に戻った。ベッドの脇には皆からの誕生日プレゼントが置かれている
シャワーを浴び終わると、部屋の照明が突然点滅した。電圧が不安定なのだろうか……こんなことは初めてだった。警戒心が強くなる
急いで体をタオルで拭いた。いまだ、照明は点滅している
タオルを体に巻きバスルームのドアをそっと開けて外を見たが、変わったことはなさそうだ
心霊現象的なことかと肝を冷やしたが、案の定、電圧が不安定なだけだった。これでひと安心だ……
次の瞬間、突然「パン」という音がして、部屋の明かりが完全に消えた
周囲が真っ暗になり、急に転んでしまった
しばらく床にはいつくばって手探りしていると、視界の脇に夜風にあおられたカーテンが目に入った
窓が開け放たれ、床には銀色の月明かりが降り注いでいる。そして、白い足がそこに――
白髪の少女は窓辺に座り、顔をしかめるようにしてこちらを見ていた
あなたは人気者なのね?
ルナの視線はベッドの脇に積まれたプレゼントに注がれた
人間の指揮官、あなたには隙がありすぎる。私が望めばあなたを今すぐ傷つけることだってできる。なのにそこまで無防備だなんて、言っておくけど……
微かな光に目が慣れてきて、背後にあるテーブルを頼りにゆっくりと立ち上がった
不用意に動かないで!
もしまた動いたら、何が起こるか保証できない。これは脅しじゃないわ
ルナの視線が鋭くなり、ふたりの間に緊張感が漂った。そこまで言われてしまっては、動く勇気も湧いてこない
こちらの言う通りにして。2歩前に進んで
ルナに言われた通り、慎重に2歩前に出た
後ろを向いて
息を止めて振り向くと……テーブルの上に瑠璃色のスノードームが置かれていた。内部には繊細な装飾が施されている
これは壊れやすいの。お尻が当たらないように気をつけて、床に落ちたら壊れるから
頭をフル回転させてみたが、誰からこの贈り物をもらったのか思い出せない
わざとらしい!あなたって本当に……イヤな人ね。わかっていて私をからかってるの?
たまたま通りかかっただけ。だからついでに立ち寄った、今日が終わる前に……
人間にとって誕生日は大切なものでしょう。姉さんと一緒にいた頃、誕生日はいつも楽しみだった。あの日のプレゼントほど嬉しいものはなかった。それはあなたも同じはず……
……調子に乗らないで
た……誕生日おめでとう。どう、これで満足?
じゃあ、また。今日くらい、いい夢を見なさい……