Story Reader / 祝日シナリオ / 純白の想い / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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親子ゲーム

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指揮官、次はどこに行きましょうか?

はい、指揮官とお散歩するのは久しぶりですね

まずこの近くを見てみましょうか?

立ち去ろうとした時、椅子の上で体を小さく丸めている子供がいた。パビリオンでリーフの物語を聞いていた女の子のひとりだ

少女は椅子の上ですやすやと眠っている。顔が椅子の肘掛けに圧迫されて赤くなっているが、目を覚ます気配はまったくない

えっと……初めて会った時もひとりでした。家族も友達もいませんでした

女の子が枕にしている肘かけを指の腹でポンポンと叩くと、「子猫」はビクッとして、欠伸をしながら体を伸ばした

彼女は目を開け、しばらくしてやっと目の前の見知らぬ人を認識したようだ

だあれ……?

……あれ?さっき変なロボットダンスしてた人……それと花の妖精のお姉さん!

リーフはしゃがんで、優しく女の子の髪をなでた

ほら、起きて、ここで寝ると風邪を引きますよ

椅子の肘かけを枕にしていた「子猫」はビクッとして、欠伸をしながら体を伸ばした

あ、花の妖精のお姉さん!

その人は……あれ?さっき変なロボットダンスを踊ってた人……

パパとママを待っているの

でもいくら待っても……帰ってこないから、私、捨てられたのかな?

その言葉を聞いて、リーフは物憂げな視線をこちらに向けた。お互いに同じことを考えているのか、確認しようとしている

彼女たちがその事実に気づいているのかどうかはわからないが、保全エリアに残された子供のほとんどは、両親を亡くしている

目の前にいるこの子も例外ではないだろう

だが、誰がこの切ない期待を砕けるというのだろう?

アイリ

アイリ、友達と遊びには行かないの?

…………

女の子は戸惑いながら遠くにいる人々を眺めた

私、ここにきたばかりだからまだ友達がいないの。それにパパとママもまだ戻ってきてないし

いいの?

どんよりと曇ったその目が急に輝いた。どうやら誰かに誘われるのが久しぶりのようだ

もちろん。ちょうど、私たちもゲームをしたかったんです

あのスターチケットを集めるゲーム?

それなら知ってる!ゲームに参加すれば、お祖母ちゃんからスターチケットがもらえるよ

いいよ!

どれからにしますか?

あれをやってみようよ!

少女はパビリオンの隣にあるトラックを指さした

並んだ人同士の足を縛ってスピードを競う……

身長差を考えたらそうですね。私たちがアイリに合わせましょう

アイリとリーフと一緒にスタート地点へと向かった

自分とアイリの足を縛っている紐を調整して、アイリの足首と自分のふくらはぎの高さで紐を縛った

これは作戦だった。リーフとふたりでアイリを持ち上げ、体を浮かせて歩けば、歩幅の違いのせいで転ぶのは避けられるからだ

わかりました

左右からリーフとともにアイリを持ち上げ、腕で支えた。安定感は抜群だ

は~い!

スタッフ

準備はいいですか?よ――いドン!

「イチ、ニ、イチ、ニ……」

「イチニ、イチニ……」

「イチニイチニイチニ……」

わぁっ!

ゴールラインを超えた瞬間、アイリが悲鳴を上げて転んだので、リーフと一緒につられてコケてしまった

ご、ごめんなさい……

指揮官!?大丈夫ですか?

ごめんなさい……私がまた……

スタッフ

おめでとう

最後に転んだけど、ちゃんとゴールラインを超えているし、それに……

スタッフはタイムを見た

スタッフ

子供連れでは一番の記録です。1等賞がもらえますよ

スタッフ

子供と3人で組むこと自体、難しいですから

……

スタッフは笑いながら手を振ってくれた

スタッフ

アイリと遊んでくれてありがとう

スタッフ

賞品をもらいにいってください。1等賞はチョコレートの詰め合わせです

チョコレート……

アイリはチョコが嫌いなんですか?

少女は必死に首を横に振った

大好き。しかもみんなの力を合わせたから、もらえるんだし。でも……

少女の視線は順位から外れた人がもらえる記念品――藁で編まれたブレスレットに留まっていた

うん……昔、ママが作ってくれたんだけど、雨に濡れてちぎれちゃって……

次のゲームに参加して、記念品を狙いましょうか?

いいの?めんどくさくはない?

いいですよね?指揮官

そうですね。アイリ、一緒に行きましょう

し、指揮官……

リーフは少し照れたように下を向いた

……私も……同じ気持ちです……