4人による連携で、ロランは少しずつ後退していく。周りのバーチャルリアリティも徐々に消え始め、元の姿が現れてきた
もう時間がないね
グレイレイヴンって、本当にしぶといよね
あの幽霊船で死んでくれると思ったのに、ここに流れ着いてしまったとは
あの救助信号は、あなたの罠だったのですね
そうだね。あーあ、もうここまでかな
海の魔女を見捨てるのですか!?
海の魔女?
あ、イドのことか……
彼は笑いながら振り向き、地面に突っ伏して、もう動かなくなった機械体を見た
三姉妹のつまらない執念はもう終わりだね
ああ、何でもないよ、大事なことじゃない
侵蝕されているのはイドだけだから、あとのふたりとは、すでにどこかで会っているかもね
管理人であるイドがいなくなれば、彼女がコントロールしている中枢も停止する。君たちの目標は達成されたよ
我々の確執については、続きはまた今度にね
彼は手をひらひらと振って、皆の視界から消えていった
指揮官、胸の傷は……
ルシア……!
リーフはすぐにルシアに駆け寄り、応急処置された彼女の手首の傷を確認した
……この服は……
リーは自分が着せられている王子の礼服を見て、何かを言いかけてやめた。だがすごく何かを言いたそうにしている
……
いえ、何でもありません
皆と合流できたので、戻りましょう
少しずつ穏やかな状態になっています
指示がない限り、組織的に船を攻撃することはなさそうです
待ってください、指揮官。戻る前に、少しだけいいですか?
海風が船の間を通り抜け、礼服の緩んだネクタイを巻き上げて、遠くへ飛ばした
ふと振り返って、あの「無人」の孤島を見た
皆はルシアの提案に同意した。島を離れる前に、中枢を制御し、小型ロボットのほとんどを地下の密閉空間に送った
それでもいつの日か、パニシングによって完全に侵入され、彼らは侵蝕体に変えられてしまうだろう
だから――
私たちは一刻も早くこの島に戻り、真の繁栄を復活させます。待っていてください、イド……
彼女は目を閉じ、海風の囁きに耳を傾けた。それはまるで、その風の囁きが島の未来と過去を物語っているかのようだった
その時には……ひとりで責任を背負ったり、犠牲になる必要はありません。ここに迷い込んだ人も、もう二度と獲物になったりはしませんから
約束します