Story Reader / Affection / セレーナ·嵐音·その5 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.

セレーナ·嵐音·その1

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親愛なる見知らぬ貴方へ:

この手紙を受け取って、大変困惑されていることでしょうね

もし忙しくてこの手紙を読む暇がなければ、どうぞお捨てになってください

もし時間がおありなら、退屈しのぎに手紙の2枚目までめくってみてください

……

……

ある日突然、私信のポストに見知らぬ差出人からの手紙が届いていた

機密文書でない限り、この時代ではペンと紙で情報を記すことは稀だった。資源の無駄遣いだし、情報を即座に拡散できないからだ

しかし、この手紙は機密文書ではないようだ

ロイヤルブルーのインク、柔らかで滑らかな紙、美しく流暢な筆記体の文字、そしてウッディ系の淡い香り……

洗練されていて、まるで別世界から届いた手紙のようだ

「手紙」という概念はすでに通信に置き換えられようとしている。このような正式な手紙は極めて珍しく、前世紀の映画の中でしか見られない一品だった

こんな「レトロ」な方法で手紙を書いてくれたのは誰だろうか?

困惑しながらも、ゆっくりと次の便箋をめくってみる

……

……

……

この文字を読んでくれることに感謝いたします。それは、この手紙が屑箱の塵になっていないことの証明ですから

くれぐれも誤解しないでください、これは決して悪意のあるいたずらなどではありません

実は私、「文通相手」を探しているのです

「文通相手」という言葉をご存じかはわかりません。私も少し前に、

公共基本教育センターの図書館の本でこの言葉を知りました

いわゆる文通相手とは、手紙を介して友情関係を築く相手のことです

昔、情報通信時代の以前は、人々は手紙をもってはるか遠くの人たちと交流していたそうです

このような効率が悪く、コストがかかる連絡方法は、退屈で時間の無駄だとお思いかもしれません

でも私はこの連絡手段を知った時、ただ本当に……

次の単語は何度も書き換えられていた。書いた人はここの言葉遣いを繰り返し繰り返し、考えたのだろう

ロマンチック

そう、私はこの方法はとてもロマンチックだと思っています。この時代にはロマンチックな事柄が欠けているんです

全ての人がせわしなく限界まで効率を追い求めるこの時代において

心を落ち着かせてペンでひと文字ずつ、このように気持ちを伝えること自体が、とても不思議な経験です

時に文字は会話よりも気持ちを直接的に表現できると思っています

私はどこに立っていても、礼儀、教養……いろいろなものが肩にのしかかってきて、

時には息ができないほどになります

何かを書く時だけ、私は何も気にせずに、純粋な自分でいられるんです

口では語れない言葉や気持ちも、文字なら伝えられます

相手の反応にその場で即座に直面もしないし、自分の不適切な行動を瞬時に恥じる必要もありません

私は紙の上なら自由に語ることができます。紙の上に踊る文字こそ、真実の私です

自分のことばかり話してしまいました。こんな小さなことで興奮して自分を抑えきれない未熟な私をお許しください

では本題にはいりましょう。ここまで読んで、あなたもお察しのことと思います

見知らぬあなた――私の文通相手になっていただけませんでしょうか

最初、友人と文通することも考えましたが、よく考えるとあまりにも意図的すぎて、かえってぎこちなくなりそうで

それでこの手紙をエデンのどこか知らない住所に住む、見知らぬ人に送ってみてはどうかと考え始めたんです

相手がどなたかを知る必要はなく、相手の方も私が誰なのかを知る必要がありません

最も簡素かつ原始的な方法を利用して、ゆっくりとお互いのことを知っていけばいいのではないかと

簡単に自己紹介いたします。私の名前はアイリス。お察しでしょうが、これは本名ではなくペンネームです

私のことはこれくらいにいたしましょう。最初から見知らぬ誰かの全てを知りたくもないでしょうから

次のお手紙で自分の趣味や、今熱中していることについて書いていくのがいいかもしれません

手紙の中に、新しい封筒と便箋を同封いたしました。お返事を期待していますね

もしこれがお手間になるのならどうかご遠慮なく。いやいや文通をする必要なんてありませんから

ただ単純にこうやって考えを文字に落とすだけで、私は十分満たされるんです

心を込めて

アイリス

中には本当に折りたたまれた封筒と便箋が同封されている

気づけば不思議な力に導かれたように、机の前に座っていた

空中庭園の片隅

若い女性が手に1通の手紙を握りしめ、部屋の中を歩き回っている

まさか本当にお返事が来るなんて……

彼女は突然自分のベッドに倒れこみ、頭を枕に埋めた

しばらくして彼女はゆっくりと頭をもたげ、横目でそっと手の中の手紙を見た

それはただの紙ではなく、まるで生身の人間のように見えた

あの手紙を出した時、まさか本当に返事がもらえるなんて思ってもみなかった

だからこそ、この瞬間はとても嬉しくて、恥ずかしいとさえ思うくらいだった

……ふぅ

深く息を吸ってセレーナはゆっくりと封筒を開いたが、また思わず顔を背けてしまった

しばらく気持ちを整え、彼女は手で目を覆いながらも指の隙間からベッドに広げた手紙を見た

「アイリス……」

「初めまして、手紙をもらって嬉しかった。私の名前は[player name]……」

彼女は文字を追いながら読み上げていった

そして小さな声でその名前を読むことを繰り返した

[player name]

優しい笑顔が彼女の顔にそっと広がった