Story Reader / Affection / アリサ·エコー·その2 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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アリサ·エコー·その6

アリサ

姉さん、あの星はすごく明るいね

セシリア

シーッ……静かに……えっと……

あれはたぶん天秤座βね。緑色に見えることがあるって……うーん……ハッキリ見えないわね

アリサ

緑色?よく見てみようっと……あっ!あそこ!星が飛んでる!

セシリア

流れ星?

アリサが振り返ると、姉は手を合わせて目を閉じ静かに祈っていた。その姿はかつて本で見た聖母像のようだ

アリサ

姉さん?

セシリア

流れ星は願い事を叶えてくれると言われているの。運よく見つけられたら、試してみるといいわ

この偽りだらけの現実の前では、どんなに非現実的な願いであっても、ほんの少しの慰めにはなれるかもしれない

もし本当に願いが叶うのなら、せめてアリサというこの子が、もう二度と騙されることのないように……

アリサ

私も試してみる!でも……流れ星、もう消えちゃった。うぅ……

セシリア

あら?じゃあ……今度見つけたら、すぐアリサに教えてあげるから!

アリサ

それだと願いが叶うのが遅くなっちゃう……

セシリア

アリサの願い事は何だった?姉さんが、早く叶えてあげられるかもしれないわ

アリサ

姉さんとお父様、それから皆でずっとここで暮らしたい!ずっとずーっと!

あの時の姉さんはどんな表情を浮かべていただろう?もうハッキリと思い出せない……

ごめんなさい、こんなに時間が経ってからようやくわかった。あの場所に隠されていた全てが……

今のあなたには、本当に信じられる人がいるでしょう……

それだけで、十分よ

エコー

……姉さん?

ん……

構造体にとって朝日は眩しいものではない。暗闇から明るさに適応するのにも、さほど時間はかからない

エコーは目を開けた瞬間、慌ててバッと立ち上がって数歩後ずさりした

も……もうこんな時間!?

なんてこと!指揮官よりも長く寝ちゃうなんて!

で、でも、身だしなみを整えていないのに、指揮官がこんなに近くに!

エコーは慌てて髪と塗装を整えたが、彼女の身だしなみはそう乱れてはいない

駄目です!寝て起きたら身なりを整えるのはマナーですから!指揮官もほら、横の髪が寝グセで跳ねてますよ!

エコーの真似をして服をひっぱって整えると、「任務は完了だ」という顔で彼女を見た

……

彼女は何か言いたそうだったが、最後は諦めた様子でこちらへ近付いてきた

コホン……失礼します、指揮官。やっぱり私がお手伝いを……

これでだいぶマシに……あっ、こっちも

少女はそっと手を伸ばし、自分の横の髪をなでつけてきた

昨夜……寝入ってしまったのは私のミスです

最初は詩に関する言葉について話し始め、本の話題や珍しい文書の話になり……最後は自分が先に眠ってしまったようだ……

任務の時間は……大丈夫ですか?

言い終わると、エコーはすでに荷物を片付けて焚き火の後処理をし、出発の準備を整えていた

座席からゆっくりと振動が伝わったかと思うと、輸送機はすでに安定した飛行態勢に入っていた

それは、この「監督」の役目がもうすぐ終わることを意味している

その前に……間に合うだろうか……

端末を起動し、心の中で何度も推敲した文章を入力した。エコーと語り合ってから、スムーズに書き出せるようになったと思う

深く集中していたために、時間が経つのを忘れていた。ほどなくするとふわりとした無重力感が伝わってきて、輸送機の着陸を知らせた

シートベルトを外して素早く向かいに座っていたエコーの隣の席へと移動し、折りたたんだ紙を少女に手渡した

彼女はその紙をそっと開くと、書かれた文字を読み始めた

……これを書いていたのですね……端末で仕事をしているのかと

初心者ではあるが……彼女の感想を聞いてみたかった

夜明けの星が、希望の光を降らし……

明日へと……流れる……

彼女はその言葉を繰り返しつぶやき、ぼんやりと何かを考えているようだった

はい……率直に申し上げると……指揮官の書き方はやや稚拙です……いえ、私のレベルが高いと言っているんじゃなくて

でも、感情表現の観点から見ると……とても気に入りました!

指揮官が伝えたい気持ちや価値観がよくわかりますし、共感できます……

そして……実は指揮官の詩の一部は、私が望む景色でもあります……

エコーはもう一度読み返すと、その紙を丁寧に折り畳んでノートのハードカバーの間に挟んだ

これは……私にとって大切なものですから、しっかりと保管しますね

価値のあるものは1日では成し遂げられません。詩も、任務も、私たちの……願う景色も

詩に興味があるなら、きっといつか、指揮官にも素晴らしい作品が書けると信じています

深い色の地面が近付いてきた。話している間に輸送機がゆっくりと着陸し、エンジンの低い音が止まる

お別れの時間ですね……指揮官

それは……空中庭園でのことですか?

でも……元のルールに違反することになるのでは?

一般の構造体を厳しく扱うことはないよ

空中庭園……そこに滞在したいという訳ではありませんが、あなたがいるのならそこも悪くないのでしょうね……

エコーの髪がハッチの外の光に照らされている。穏やかに微笑む彼女は、まるで神聖な使命を受けた使徒のようだった

では、構造体エコー、指示通り任務地点に到着。有益な情報と判断すれば、協議規則に沿って速やかに報告いたします

構造体の少女は背を向け、荒れ地に向かって歩き始めた。進む先に背負うべきものがあることを、彼女は知っている

しかし同時に、ともに未来へ歩む人が側にいることも、彼女は確信している

その日が来るまで、彼らは決して努力をやめないだろう