Story Reader / Affection / クロム·栄光·その1 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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クロム·栄光·その5

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――人類の使命を継承する者は誰だ?

――我々は自分自身の継承者を創造しているのだ

――彼らは人類と同じ能力を持ち、与えられた能力は人類をも超える

――科学者たちは自分の研究結果について考えるべきだろう。かつ、道義的責任と真剣に向き合うべきだ。特に、彼らの発明は人類の未来に影響するものなのだ

――我々は発明がもたらす倫理的な問題を無視して、研究に没頭するべきではない

クロムは本の重点的な内容の部分を一字一句、読み上げた

理解しにくい文章ではなく、補足説明は不要だ。黄金時代に誕生したこの本は、今も人類社会にある問題を鋭く指摘しているのだ

物事の発展は螺旋を描きながら上昇していく。主体が変わっても、直面する問題はほとんど同じだ

この長年続くパニシング戦争の生死存亡には明らかな矛盾が隠されている

人類は新旧が共存する過渡的で不安定な時代の中にいる。それはパニシングが原因ではなく、人類が内包する矛盾が引き起こした問題なのだ

構造体と人間が、最もいい例だった

……

構造体をどう定義するべきだろうか?根元的には同種なのか、それとも異種なのか?

全ての人が納得できる答えを、誰もが持ちえなかった

君はどう思いますか、[player name]

期待を裏切ってしまいますが。私もずっとこの件を考えていますが、まだ答えが見つかりません

おそらく多くの人の答えは、後者でしょう

――異種

だからこそ、今日のような出来事が起きるのです

さきほども同じ質問をされた気がしますが

落ち込んではいません。想定内のことでしたので

私はただ……憂慮しているのです

クロムは視線をこちらに向けてはいるが、その目は、より遠くの未来を見ているかのようだ

天を覆った投影による黄昏はすでに消えており、夜が訪れていた

そんな心配をするなんておかしいと思われるかもしれませんが、気になるんです……

無意識の内に、クロムが言い終わる前に口にしてしまった

それは私の言いたいこととして正確ではありません、ですが……私の言いたいことを君は理解してくれている

構造体を異種と見なしているから、人々は戦争での人員の死傷にも無関心でいられるのです

この戦争は新たな問題をもたらした。それはパニシングに対してではなく、人類自身に対してです

法律とは?道徳とは?この世界の境界線が、どんどん曖昧になっていく

私がこの問題について戸惑い、怒りを感じていた時、もうひとつの事実に気づいてしまったんです

パニシングが消えても……未来には多くの矛盾が起きるでしょう。そしてそれは致命的な衝突と戦争を引き起こす

クロムは、誰と誰が衝突し戦争するとまでは、明言しなかった

なぜなら、そのふたつの主語を口にするのは、あまりにも残酷だからだ

……そうなんですか?

……

クロムは黙り込んでしまった

その沈黙は、ちょっと長すぎると感じるほどだった

――最終的にその沈黙を破ったのは、クロムでも自分でもなかった

ひとりの学生がいきなり現れ、焦った様子でクロムの前に立ったのだ

この席を知っているなら、よくここで勉強をしている学生なのだろう

どうやらクロムとふたりして知らぬ間に、誰かのお気に入りの席を占拠してしまっていたようだ

お邪魔して、す、すみません。あの、ランストン·スミスさんでしょうか?

クロムは頷いてみせた

学生の顔には隠せないほどの喜色があふれた

さ、さっき遠くであなたを見て、ご本人じゃないかと思って!

今日はスピーチをしてくれるかと、楽しみにしていたんです……

自分の言葉が場違いだと感じたのか、学生は壊れたラジオのように次の言葉を言えなくなり、狼狽したように目を泳がせている

だがクロムが持っている本を見たとたん、その学生はぱっと目を輝かせた

……あなたもこの本を?

この本の内容について見解をお訊ねしたいのですが、よろしいでしょうか?

クロムはこちらを見た。同行者の同意を求めているとわかった

クロムは学生に向かって頷いてみせた

ああ、光栄だ。光栄というか、本当に光栄です……

学生は興奮して支離滅裂になっている

……

その討論は長く続いた

やがて、クロムは立ち上がった

そして再びこちらを見た

[player name]、もう時間も遅いですし、ここは後輩たちに譲りましょうか