Story Reader / Affection / クロム·弧光·その2 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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クロム·弧光·その6

お願いしますよぉぉぉぉ

お前の機能回復には一切役立たないし、そもそも私にそんな暇はない

そんなぁ!だって観たいんだもん!!

そんなに暇なら、ゲームでもやったらどうだ。パーツの修理が終わり次第、新たな訓練計画を始動させるからな。遊ぶなら今のうちだぞ

それに……[player name]だって、賛同するとは思えない

これは指揮官

指揮官!しーきーかーんーーーー!

頼むから加勢してくれよぉ……

えー、指揮官ヒドイ!俺に会いに来てくれんじゃないの!?

何かご用ですか?

うわぁ!指揮官最高!やっぱり世界は優しさでできてるんだな~!

カムイは観劇したいそうなんです

みんな毎日任務に出かけてるのに、俺だけ何十時間も閉じ込められてるんだぜ!

退屈で死にそうなんだよ~!助けてくれるよな?な??

なぁ~~指~~揮~~官~~

そう!怪我してるからなんにもできないわけ!超退屈なの!

このままじゃ、口喧嘩しかやることがないなぁ……?

隊長もいるじゃん!

ふたりいれば、いけるっしょ!

……[player name]がそう仰るのなら……

よっこらせ。ナナミカートが通りますよ~、っと

ナナミは大きなカートを器用に押しながら滑ってくる。カートにはナナミの身長の倍近い高さまで、物が積んであった

おい、気をつけろよ。あれはオレが用意した発煙弾だぞ!

舞台、持ってきたよ

それはルシアがやった

指揮官、私は衣装を用意してるんですよ。まだ完成はしていませんが……

ナナミカートが戻りますよ~、っと

次々と運び込まれる道具や賑やかな笑い声が、広々とした空間をあっという間に満たしていく

カムイ、人さまの邪魔をするんじゃない

そうですね

ここのところ多忙で、隊員のフォローをする時間が取れなかったんです

[player name]のお陰で、助かりました

君……とストライクホークは、私に新鮮な驚きを与えてくれます

自覚されていないとは……

まあ、悪いことではありませんよ

いえ、不満なのではありません

というより……君は、私に望外の喜びをもたらしてくれる

指揮官、指揮官!

コソコソ何やってんだよ!こっちは準備オッケーだぞ!

指揮官、台詞は全部覚えましたか?

……

では、台本を持ったままやりましょう。私がリードします

どちらの役にしますか?

第2幕第2場·クロム家の裏庭、アクション!

クロムはバルコニーに寄りかかると、頬杖をついて物憂げな表情を浮かべた

ロミオ、ロミオ。あなたはなぜ、ロミオなの?

どうか、その家名をお捨てになって!何の意味があるというのです。たとえバラがどのような名前であっても、その香りに変わりはありませんもの

たとえ、あなたがモンタギュー家のロミオでなくなっても、この愛は変わりません……

もし、あなたが……わたくしを愛すると誓ってくださるなら、わたくしもキャピュレットの名を捨ててみせましょう

舞台袖から[player name]が登場した

そこにいるのはどなた?夜闇に忍んで人の話を盗み聞くなんて……

その甘いワインのようなお声……ええ、わからないはずがないわ。ロミオ、ロミオなのね

どうやってここへいらしたの?なぜ、ここにいらしたの?庭園の壁はあんなにも高い。簡単に越えられるはずがないわ

家の者に見られたら、殺されてしまうかもしれないのよ

何者かが、あなたを導いたのね

わたくしを愛してくださる?あなたは「はい」とお応えになるでしょう。わたくしもその言葉を信じます。でも……あなたの誓いは偽りかもしれない

ロミオ、本当にわたくしを愛してくださるのなら、どうか教えて

わたくしを軽薄だとお思いなら、あなたを拒み、怒りをもって謝罪を求めましょう。ですが、わたくしにあなたの愛を拒むことなど、もとよりできはしないのです

駄目よ、月は気まぐれですもの。月に誓ってしまったら、あなたの愛も月のように目まぐるしく形を変えてしまう

お嬢様、そろそろお休みになるお時間ですよ

ええ、すぐに行く。――もしあなたが誠実な方でないのなら、心から求めます

お嬢様?

待って、もう行くから。――愛を囁くのをやめて。どうか、わたくしをひとりで悲しませて。わたくしを惑わさないで

わたくしを裏切らないで、ロミオ

別れとは、なんと甘美で物寂しいことか……本当はあなたにおやすみなさいと言って、夜明けまでともにいたい

クロムはバルコニーの遥か下にいる[player name]へ、手を伸ばした……

同時に、舞台の下からピンク色の煙がもくもくと上がり、火薬のにおいが広がる。続いて、奈落でバチバチと爆発が起こった

待っ、ちょっと——

観劇席

…………!

……指揮官!

……

ク、クロムさんが……指揮官を……

……おい、わざとじゃねぇからな!いい演出だっただろ!

ブラボ~ブラボ~!指揮官!クロム!最高~~~~!!!

ナナミが絶妙なタイミングで舞台の幕を下ろし、両端のスピーカーが盛大な音を鳴らした。色とりどりのリボンが宙に舞い、カムイは興奮覚めやらぬ様子で手を叩き続けている

指揮官、大丈夫ですか?

……ご無事で何よりです

そんな、改まる必要はありませんよ

水くさいですね

これからも、いつだって声をおかけください

私は……君の役に立てることが嬉しい

劇、ですか?

いえ、特には何も

ですが、指揮官と一緒に何かをする、というのは……悪くありませんね

さて。それでは、後片づけの時間です

行きましょうか

……君も、いずれこうなりますよ

行きましょうか

第2幕第2場·指揮官の家の裏庭、アクション!

[player name]がバルコニーに寄りかかり、顔を覗かせた

クロムはバルコニーの真下にあるセットの茂みから、愛おしそうな表情で指揮官を見上げる

痛みを知らない者ほど、他者の傷跡を嘲笑う

ああ、僕の愛しい人。どうか、この愛をわかってほしい。君が言葉を呑み込んでも、その瞳が全てを物語っている

君の瞳はまるで、星のようだ。いや、君の瞳の美しい煌めきは、黎明の光が星を覆い隠すように、あらゆる光を凌駕するだろう

その愛らしい唇からこぼれ落ちる言葉は、甘露のようであるに違いない――どうか続けておくれ、光の天使よ

このまま聞き耳を立てようか、それとも声をかけようか……

僕の名は告げられぬ。僕は君の敵たる名を憎んでいる。この名が紙に書かれていたなら、必ずその紙を引き裂くだろう

ジュリエット、君がその名を厭うなら、僕はロミオではない

愛の翼で、屋敷の壁を越えたのさ。冷たい石の壁ごときに、この愛を隔てられるものか。愛の力でできることなら、どんな危険でも冒してみせる

君の瞳は、20振りの剣よりも強いのだ。君がその優しい瞳で僕を見つめてくれる限り、誰も僕を傷つけることはできぬ

僕を愛してくれるなら、何だってしてみせる。君に愛されぬまま平凡に生きるより……敵の剣で死ぬ方を選ぶ

お嬢様、そろそろお休みになるお時間ですよ

行ってしまうのかい?ジュリエット、僕は君を初めて目にしたその瞬間から、ずっと……愛している

お嬢様?

魂にかけて愛を誓おう

君なき夜は、僕のこころを悲痛で押しつぶすばかり

君が僕の名を呼んでいる……夜に揺蕩う恋人の声の、なんと美しいことか。まるで天の旋律だ

クロムはバルコニーの[player name]へ向けて、手を伸ばした……