Story Reader / Affection / リーフ·白夜·その6 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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リーフ·白夜·その2

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「新しくできた遊園地に一緒に行こう」と聞けば、誰だって皆で一緒に遊びに出かけて、楽しい1日をすごすのだと思うだろう

花が届きました。ここにサインしてください

では、次は植えつけを手伝ってください。それも契約に含まれています

わかっています

休暇のようなイベントでも、結局仕事だったというのは、グレイレイヴンでは常でしょう?

グレイレイヴンに与えられた復興の任務は緑化に関わるものです。私たちはずっと草木や花を栽培して、それを街の緑化エリアに届けています

今は機械が手伝ってくれていますが、まだ人による管理が必要です

指揮官、具合がよくないとリーフから聞きましたが、今日は休みにしましょうか?

仕事の報酬に、遊園地で無料で遊べることが含まれています。ここの作業は私とリーがいれば大丈夫です。機械を制御して植えつけるだけなので、たいした作業じゃありません

そうですよ。私も手伝います

こっちは大丈夫です。リーフは指揮官と一緒に行って、お世話の方をお願いしますね

やっぱりまだ安心できません。せっかくここまで来たんですから。これからは4人で一緒に健康で平穏に暮らしていきたいんです

……そうですね……ルシア、本当に大丈夫ですか?

ルシアは微笑んで輸送車両の中にあるガーデナーロボットを指差した

大丈夫です。ロボットがいますから

リーフを誘わなければ、彼女はきっと仕事への責任感から、自分は手抜きをしたのではという罪悪感を抱いて、心配し続けると思われた

……はい……

呼びかけに応えて、リーフはおとなしくこちらに歩いてきたが、なおも心配そうな様子だ

簡単な仕事です。僕たちのことは気にせずに、ゆっくり楽しんできてください

なんせ「人」生は短い。時間は貴重ですからね

これはあなたが言った言葉ですよ

…………

とにかく、気にせずゆっくりしてきてください

ルシアとリーに別れを告げ、ふたりで人混みの中を並んで歩いた

パニシングがもたらした災難が終結してわずか5年、赤子も動物も目に見えて増えている

真昼の太陽の日差しが温かい。深呼吸すると、風に乗って運ばれてきた花と土の香りがする

……

リーフは何も言わなかったが、彼女の表情が全てを物語っていた

はい。特にこんな平和な時代では、皆が楽しそうです

だから、私も嬉しいです……

少女は人々の喜びを糧に成長する花のように、自分に訪れた春という季節を謳歌していた

まだ復興の仕事はたくさんありますが、もう仲間を失う心配はありませんから

……でも、指揮官はあまり、お元気ではなさそうですね

指揮官と、呼ばなくていいと……?

……[player name]?

……[player name]……

リーフは少しうつむき、顔を真っ赤にした

じ、じゃあ……[player name]……

これから……どこに行きますか?

わ、わかりません

いいえ。母は私を産んだあと、ずっと体調が優れなくて

その後、亡くなってしまったので……そんな機会はありませんでした

……し、指揮官……!あ……[player name]……

ご迷惑じゃありませんか?

えっ……ありがとうございます

彼女は嬉しそうに頷き、少し近づいてきた

では……一番人が多いところに行ってもいいですか?

彼女は遠くの「スペースシャトル」という文字が書かれたジェットコースターを指差した。そこからは歓声と悲鳴が聞こえてくる

遊園地の中で一番人が多いとはいえ、街全体の人口はまだ黄金時代ほどではない。ふたりは数分並んだだけで「スペースシャトル」というジェットコースターに乗ることができた

ジェットコースターはVRの技術により、まるで宇宙飛行をしているようだった

観光客1

きゃあぁぁぁぁ――

観光客2

怖いぃぃぃぃぃ!!

観光客3

いやあぁ――

……

風が気持ちいいですね。でも本物の宇宙とはまったく違いますね

少女は冷静にジェットコースターの座席に座っている。その雰囲気は、周囲の悲鳴とは完全に一線を画している

はい。以前の作戦でよく輸送機を使いましたから、もう慣れっこです

いいえ、今はここに皆さんがいますから

リーフはこちらを見つめ、優しい笑顔を浮かべた

……あなたも

リーフの柔らかい手に触れると、彼女の微かな震えが感じられた

……

……ふぅ……

かつての私の夢は……もう全て叶いました

多くを語る必要はない。長年の絆ゆえに、今のお互いの気持ちは痛いほどわかる

広大な宇宙の幻影と人々の声がこだまする中、ふたりは何も言わず、ただひっそりと寄り添い合った

慣れ親しんだ「宇宙旅行」を終えると、リーフとともにジェットコースターを後にした

彼女は周囲を見回すと、そう遠くないところにあるおもちゃ屋に目を留めた

……いえ、大丈夫です、必需品ではないですし

……は、はい

ショップの方まで行くと、そこではおもちゃを売っているだけでなく、射撃でおもちゃを獲得するイベントもやっていた

なぁ、この銃で本当に風船を当てられるのか?

おもちゃ屋店長

もちろんです。お見せしましょうか?自分の腕前を銃のせいにしないでくださいよ!

観光客

チッ!

行こう、行こう

……いいんですか?

彼女はこちらの様子を窺っているおもちゃ屋の店長を見て、声を低くした

彼女の口調に倣って、同じく彼女の耳元で声を低くした

……ええと

おもちゃ屋店長

1回やってみる?

彼女が何かを言いかけた時、店長が先ほどの客を追い払って、こちらに話しかけてきた

おもちゃ屋店長

1回20発。17発当たればミニおもちゃをひとつ選べるよ。18発は中くらいのおもちゃ、19発は大きなおもちゃだ。全部当たれば、好きなおもちゃと、更にタダでもう1回!

えっ、でも私は、射撃の腕はあんまり……

おもちゃ屋店長

待って、構造体はダメだよ。俺に損をさせるつもりかい?

店長が看板を指差した。「小部品が含まれているため、3歳以下のお子様は絶対に手を触れないでください」と書かれているほかに、「参加できるのは人間のみです」とあった

おもちゃ屋店長

空中庭園の首席指揮官でも、最高で18発しか当てられなかったんだ

おもちゃ屋店長

そこまで覚えてないよ

おもちゃ屋店長

前払いだよ

……

リーフが見守る中、代金を払って、おもちゃの銃を持ち上げ、簡単にチェックした。おもちゃの弾への環境による干渉をざっと予想する

おもちゃ屋店長

ふーん、サマになってるね、元軍人かな?

顔を上げて、遠くで動く風船の標的を観察する。その速度は特殊なコントロールで、5秒と8秒ごとにわずかに素早く動いている

これが店長の自信の源だな?

照準を合わせ、タイミングを測って、風船を順に撃っていった

1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ……そして15まで

おもちゃ屋店長

……

……

おもちゃの弾を再び充填して、一気に残りの5つの風船に命中させた

おもちゃ屋店長

……

……

沈黙が賛辞の代わりだね

おもちゃ屋店長

あぁ、約束は守る、もちろんいいよ

店長は無言で別の銃を手渡してきた

今度はとても軽く、さっきのよりずっとシンプルだ

簡単にチェックして調整してから、ためらいなく再び20発、その全てを命中させた

おもちゃ屋店長

……

……

やはり、沈黙が賛辞の代わりだ

おもちゃ屋店長

あ……えっと、先におもちゃを選ぶかい?

はい……ちょ、ちょっと見てきますね

彼女は店内に入って一周し、カエルちゃんと小さなロボットを持って出てきた

店長はもう何も言わずに、険しい顔つきで頷くと、店の入り口の壁によりかかってこちらを見つめている

おもちゃ屋店長

ああ、変えない

改めて照準を確認した時、店長がいつの間にか風船の移動速度を調整していたことに気づいた

息を止めて、風船の動きに集中して、頭の中でシミュレーションする

3回目も、やはり全てが命中した

おもちゃ屋店長

……

ちぇっ、まさかこの遊園地に越してきて、射撃の名手に出会うとはな

せっかくだから、ちょっとこっちで記念写真でも撮っておくよ

店長は有無をいわさず自分の端末をさっと持ち上げると、こちらに向けて構えた

おもちゃ屋店長

笑って!

……[player name]……周りの人が……

リーフの言葉を聞いて、初めて周りに観光客の人だかりができていることに気づいた

ははは、皆の前で優勝スピーチでもするかい?この写真は店に飾っておこう!

……はい

彼女が再びカエルちゃんグッズの並ぶ棚に視線を落としているのに気づいて、すぐさま低い声で彼女の耳元でささやく

い、いいえ……わ、わかりました……

いつも他者を優先する少女は、そう言われてしまうと、無理やりにでも自分の好きな何かを手に取るしかない

リーフは両手を握りしめておもちゃ屋に入った。ようやく今度は彼女が好きな羊のぬいぐるみを選んできた

はい……

笑顔でおもちゃの銃をテーブルの上に置いた。リーフが抱えていたカエルちゃんと小さなロボットを受け取って、店長に手を振って別れを告げる

おもちゃ屋店長

ありがとうございました。もう来ないでよ、顔を覚えたからね

ふたりは大きなぬいぐるみを抱えて見物客の人混みを抜けた。ようやく、無意識のうちにたくさんの客を呼んでいたことに気づく

簡単そうね、店長、私も1回やらせて

おもちゃ屋店長

お支払いは20ね、前払いですよ

私たちもやってみる?

人だかりから視線を戻すと、リーフが羊のぬいぐるみを抱きかかえ、顔をそのふわふわの毛に埋めて、頬ずりしていた

こちらの視線に気づいて、少女はすぐにさっと顔を上げると、何もしていなかったかのように装った

…………

ありがとうございます、[player name]

それは……

彼女は、ためらうように指をぬいぐるみの毛に絡めた

もしああ言ってくださらなかったら……たぶん……これを選ばなかったから、です

一緒にもらった記念品をこうやって抱えていると、私……とても嬉しいんです

だから……ありがとうと

……そろそろ戻りましょうか。「戦利品」をルシアとリーさんに渡してあげないと

少女の笑顔に心が癒されて、心なしか足取りも軽くなったようだった

木漏れ陽の中、光に導かれるように、ふたりは皆のもとへと戻っていった