スイーツショップ
空中庭園商業エリア
ウェイトレスである彼女は気付いた、最近ご贔屓にしてくれている白髪の男の人がいつもの席に座っている。でも今日はいつもと違ってひとりだけで、赤いコートの男の人は不在だ
彼女はふたりのいつもの注文を覚えている。赤いコートの人はストロベリーサンデーが好きで、この青いコートの人はいつもお水だけを頼んでいたはず
赤いコートの人との会話で聞いた今座っている人は確か……バージルという名前だった気がする
ウェイトレスはバージルの席まで歩いていく
バージルはいつも通り水だけを注文したが、その視線がメニューのストロベリーサンデーに一瞬留まったことを彼女の目は見逃さなかった
彼女は甘いものが大好きだ。誰かがスイーツを食べて見せる幸せそうな笑顔も大好きだ。甘いものは人を幸せにしてくれると、彼女はそう強く信じている
いまだにバージルの笑顔を見たことがない彼女はいつもと違う行動をとった。無料サービスという建前で、ストロベリーサンデーとお水を一緒に渡してみたのだ
すぐにその場を離れてバージルを観察していると、彼はずいぶんと長い間、じっとストロベリーサンデーを見つめていた
あいつ、こんなものが好きなのか……?
甘すぎるな……