Story Reader / コラボ / 寄波の残響 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
<

黎明の穴

>

あれらの機械体は一体……リストに載っていない臨時の軍用機械体ですか?

構造体技術の発達前、各勢力は世界政府の治安部隊に対抗するため独自に機械体を改造し、生産していたと戦術資料で読んだことはありますが……

おそらく、それよりも古いもののようですね

稼働域確保のために使われているのは、なんと非球体関節です

AIの設計も初期のものですね……コアロジックはまだ有限機械を使っていますし……

たしか免疫時代の初期から、機械体の設計はほぼ全てが負性球体関節と人工筋肉の組み合わせになっているはず……

ということは、これらの機械体は黄金時代末期の設計でしょう

まさかとは思いますが、黄金時代の機械設計にまつわる博物館とかでしょうか?

地下に博物館を造り、X名称を持つ施設として隠蔽する必要がわかりませんが……

……ここで考えていても仕方ありません。入ってみないことにはわかりませんし

一見にしかず、行きましょう

我は起源なり、終焉なり。我は裁定者なり、すべてなり。

我は聡明な狐なり、獰猛な獅子なり。

我は我が父を葬り、我が父の城を築く。我は鮮血と天空の野獣を放ち、勝者に冠を授ける

父を大地に戻すため、我は勝者に冠を授ける

しかし、ここに勝者はいない。

前回も、その前も、勝者はいない

毎回、我は父の城を破壊し、そして父の城を築く。

毎回、我は鮮血と天空の野獣を放ち、勝者に冠を授ける。

……待ってください

何か……声が聞こえませんか?

そうですか?何も聞こえないようですが

僕もですね。リーフがそう言うのを聞いて周囲の300m内を強化スキャンしましたが

ヒットなしです。特殊強化されたリーフの逆元装置が、信号遮蔽不足でノイズを拾ったのでは?

でも……こんなことは初めてです

しかもしっかり聞き取れる単語がありました……勝者、血と空の獣……

……何のことですか?

ノイズが意味のある言葉に聞こえただけかもしれません。とりあえず進みましょう

科学技術で私たちは人間より優れた感知能力を手に入れました。今まで感知できなかったものもたくさんあります。これからも、それらを気にする必要はないのかもしれませんよ

ええ……そう、ですね……

でも、リーフのレーダーが私たちより優れているという証明にはなりました

皆さん、行きましょう

あ、は……はい!

一同は洞窟に隠された施設の入り口に向かった

……

…………

………………

未来ハ、虚無!我々ニ、指導者ハイラナイ!

イラナイ、イラナイ!

…………

我々ハ!指導者ガ!必要!

指導者!指導者!指導者!

イラナイ、イラナイ!

指導者!指導者!指導者!

誰もいない道の中央に奇妙な機械体が集まり、意味がよくわからない言い争いを激しく繰り広げている

アナタタチニハ、話ガ通ジナイ!

戦争ガ!必要ダ!

死ヌマデ!戦ウ!

死ヌマデ!戦ウ!

機械体は互いに刀と拳を振り上げた

戦闘開始の合図である笛の音や、鬨の声などもない

現代の戦争ではありふれた銃火器もなく、かといって黄金時代のSF的なビームを放つ装置もない

しかし機械体たちの間では確かに――戦争が起きているのだ

刀が金属を切り裂き、拳がその回路を変形させている

重そうな機体の関節を外して振り上げ、それを相手の機械体に叩きつけて、機体がバラバラになっている

――機械体は疲れもせず、ためらいもせず、妄信的に命令を守り続けるのみ

――機械体は不変であり、区別や変化はしない

――ゆえに機械体は我々の悲願を成し遂げる唯一無二のものだ

――実験が千回万回失敗しようとも、死者と機械にとっては時間に意味はない

――決着が着いたその時、人間はコールドスリープから再び目覚める

――何千年、何万年がすぎ、地上が何万回と変遷していようが

――人間こそ、この新世界の唯一の王なのだ

その目的のため、機械体たちの戦争が始まった

その目的のため、機械体たちは戦争を続けた

日光さえ差さないこの灰色の空の下、機械体たちはいぜん戦争を続けている

いつから始まったのか、どれほど繰り返されたのか……機械体たちは数えることなどない

彼らの日々は、生きて死ぬ、ただその繰り返しだ

たまに小さな変化が起きることもある

しかしそんな小さな変化ではこの生死の輪廻が途切れることはない

だからまた――生き死にを繰り返す

その繰り返しの中で、誰も知らない小さな出来事が起きようとしていた