Story Reader / 本編シナリオ / 39 冬冠の枯死 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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39-19 マルクト

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私はいつもついてない

守林人なったあの日から

北極航路連合が危機に陥ったあの日から、わかっていた

運は一度だって私の味方になったことがない

ずいぶんといいタイミングでのご登場だな、守林人!

タイミングというならお前たちこそ。こんな時に目覚めて、何をするつもりだ!

バイオニッククジラの上で、フェドールが振りかざす短刀と、ディアンナの槍先がぶつかり合う。無数の似たような交戦が、フェドールの支配するクジラの群れの上で展開した

守林人たちが地形を利用し、次々とバイオニッククジラへ飛び移る。それを防衛しようと、大量の侵蝕体がクジラの内部から這い出してきた

ミネイルはドレークを指揮しながら、混乱の中で前進し続けていた

よし!このまま突入!他のバイオニッククジラを盾にして!

ドレーク

――!

ミネイル博士、演算リソースの準備が整ったぞ

急かさないで!もう到着するから!

敵の狙いを阻止せよ!魚雷発射!

止める!

私が得意なのは頭脳戦なのに、今日は一騎打ちばかりだな……女、名は何という?

過去の亡霊に名乗る名などない!

ディアンナの槍が再びフェドールに襲いかかる。フェドールは不機嫌そうに別の刀を抜き、両の刃でその槍を受け止めた

……近頃の連中は礼儀を知らないのだな

――!

了解です!ビルを爆破し、新たに掩体を作ります!

使命は必ず果たすわ!

あと2kmでミネイル博士たちが指定地点に着く。[player name]、準備はいいか?

いつでも大丈夫!

前線の全員がアシモフの声に、神経を限界まで張り詰めさせた。赤いオーロラがもたらす灼けるような痛みすら薄れたかと思うほどだった

だが突如、異合生物の群れの中から、耳に突き刺さるような鋭い声が響いた――

ハハハ!!いい、いいわ!

巨大な異合生物に押し潰されていた影が突然爆発し、無数の怪物を空へと吹き飛ばした。怪物たちは氷に叩きつけられ、ぐちゃりと砕け散る

死んだフリをすれば、いいことがあるものね。ザルク以外に、こんなに「ラディクスの質点」に近いものがあるなんて

構造体、お前にも興味が湧いたわ。その力、寄越しなさい!

言い終えるやいなや、昇格者は矢のように飛びかかった

おい!動けるやつはロゼッタを守れ!

はいッ!

近付いてはダメ!距離を保って!

強烈な予感がある……あいつを打ち倒せる、っていう予感が

あと1kmだ!

次の瞬間、ヴォールの拳がロゼッタに叩きつけられた。しかし、今回は吹き飛ばされることなく、スカートアーマーで必死に踏みとどまり、両手の剣で昇格者の攻撃をかわした

もう勝敗はついてるわよ!

どちらかが死ぬまで、決着はつかない!

ハハハッ、言うじゃない!

あと800m

アシモフの報告を聞き、ロゼッタは両の剣を氷面に突き刺すと、拳を振り下ろしたヴォールの手首を掴んだ。そして大きく体を回転させ、ヴォールを断崖へと叩きつけた

貴様ッ……!

指揮官、意識リンクを強化して――全力でいく!

彼女は剣を引き抜き、突き進んだ。ヴォールが迎え撃つように爪を振り下ろす。爪に裂かれた空気は悲鳴を上げ、氷の欠片は旋回する刃となった

逃げずに向かってくるとはね、構造体!

本当にあのクジラが目的地にたどり着けると思ってるの?

目標地点まであと500mだが、異合生物に足止めされている!

そんな!

驚愕の声が同時に上がる。間髪入れずヴォールが襲いかかり、ロゼッタの腹部に拳が叩きつけられた

フェドールのクジラは止めたとしても、私の異合生物は誰にも止められないわよ!

そう言い放ったヴォールは再び拳を繰り出す。ロゼッタは守りに徹するしかない

無理だ。こっちも彼女たちに繋がらない。衛星で位置を確認するしかない

作戦は失敗?

いや、まだ失敗じゃない。ミネイル博士もドレークも、皆まだ戦ってるわ

戦ってる?じきに異合生物がクジラを覆い尽くすわ。後はお前さえ捕えれば、その力はもう私のものよ!

それは……異合生物がミネイル博士たちに勝てればの話でしょう、昇格者!

構造体ごときが!

ヴォールは機械アームのエネルギーを数倍に膨れ上がらせ、ロゼッタを丸ごと呑み込もうとした。だが、ロゼッタはその場でピタリと静止した――

ロゼッタ

ミネイル博士たちは必ず目的地へ到達すると言った。だから、私がすべきことはただひとつ。博士たちを信じて、準備を整える!

ずいぶんと自分の運に自信があるようね!?

ヴォールの蓄えた力が一気に解き放たれる。彼女の狙いはロゼッタの頭部だ。これまでで最大の一撃……命中すれば、この戦争の決定打となるだろう

???

コホン、あー、あー……

突然、男の声が通信チャンネルに割り込んだ。声の背後にはバイオニックの声とも自然音ともつかないような音が混じっている

力強い男性の声

こちらは守林人に同行してきた船隊だ……急造だが攻撃船の配置を完了した。以降の指揮権をグレイレイヴン指揮官に移譲する

データパネルに友軍の信号が一斉に点灯する。今すべきことは、もう明白だった

はぁ?

遠くで震動とクジラの鳴き声が同時に響いた。それに続いて、ミネイルからの不鮮明な通信が再び届く

[player name]、今すぐロゼッタに変形起動の命令を出して!

待て、まだ所定位置に着いてない。また何かトラブルが起きたら……

リスクはあるが、ヴォールに勝つためにはドレークの到達をただ待っていられない。ロゼッタによるマルクト起動と同時に、彼女たちが目標地点にたどり着くことを信じるしかない

だが、アシモフの懸念ももっともだった。何らかのトラブルで失敗すれば、前回のようにロゼッタの意識が遮断される。その結果は考えられないほど悲惨なものとなるだろう

思い通りにさせるものか!

ロゼッタを止めようとするヴォールの瞳孔がギュッと縮み、殺意を宿した拳が振り下ろされる

このッ……!

ロゼッタは間一髪のタイミングで攻撃を受け止めた。ヴォールの一撃は強烈だったが、ロゼッタは少しも怯まない

ロゼッタ

指揮官、私は勝ちたい!最後まで勝ち切りたい!

ロゼッタの決意はあまりに固く強く、意識リンクを通して伝わる情熱は、まさに今が「その時」であることを告げていた。それなら――

芝居がかった言葉だったかもしれない。だが、胸の奥から湧き上がる想いの奔流に従って声の限りに叫んだ。その力の全てをロゼッタの耳に届けるために

その瞬間、時間の流れが緩やかになった。深紅のオーロラの下、ロゼッタは白く眩い剣光に包まれ、その瞳には燃える炎が宿っていた

何度も裏切られてきた不幸な運を打ち破るため、絶望の中に訪れる唯一のチャンスを掴むために。ここまで耐えてきた自分の努力を無駄にしないために

そして、ついに彼女は幸運を掴んだ

<i><size=45>――コードネーム「マルクト」、全機能チェッククリア、アレイ展開</size></i>

<i><size=55>――この勇騎で、全てを踏み超える!</size></i>