Story Reader / 本編シナリオ / 38 トゥルーインファレンス / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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38-2 捜査

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703号室

弧光通り442番地のマンション

エリシオン

で、この被害者の名前がクリスティーナなの?

そう

……

気味が悪いでしょ

ただの同名さんでしょ

そのことじゃないって、わかってるくせに

彼女、あなたにあまりにも似すぎている……

……偶然よ

モワノは首を振り、それ以上何も言わなかった

それでは、引き続き報告を行います

先ほどの簡易検査によると、被害者の死亡推定時刻は19時30分から19時50分の間です

被害者の体には複数の傷跡があり、その一部には治療の痕跡が見られました。処置の手法から見て、被害者自身が行ったものと考えられます

致命傷は背後から胸部への貫通創で、コアを貫き、正確かつ鋭い一撃です

この傷は他の傷と種類が違います。ここです、彼女のバイオニックスキンと内部の機械パーツに焼けた痕跡があります

法医学者は1枚の写真を差し出した

このことから、凶器は高温を帯びた刀剣、またはエネルギーブレードであると判断できます

他の傷は、この機械体によるものと見られます

法医学者は床に横たわる機械体の残骸を指差した

ここは機械体が発射した弾丸による傷、そしてここは機械体が持つ鋭利な武器による傷です

機械体は人間を傷つけないはず。『エリシオン機械生産法』によれば、人を殺せない初期コマンドが組み込まれているもの

……ここからわかるのは……

ドールベアは足を踏み出し、クリスティーナの前にしゃがみ込んだ。法医学者の報告の声が耳から遠ざかり、ぼやけていく

クリスティーナの虚ろな目がドールベアを見つめている。その顔はドールベアとあまりにも似ていた

一瞬、ドールベアは床に横たわる人が、自分自身のように思えた

冷たい感覚が徐々に体を満たし、コアも体への駆動エネルギーを供給できない。体温が循環液とともに体から失われ、視界はぶれ、やがて闇へと溶けていった

彼女はここに囚われ、動けなかった。治安員がドアを叩いて捜査許可を求め、ドアを破って周囲に警戒線を張るのを感じた。法医学者が自分の傷を調べ、写真を撮るのを感じた

私」は死んだ。「クリスティーナ」

私」は静かにここにいて、「クリスティーナ」が来るのを待っていた

巨大な不条理がドールベアの脳を支配したそのごく短い瞬間、ドールベアはこの世界が偽物のように思えた

何を見ているの……クリスティーナ

ドールベア

うん

私が言いたいのは、彼女はドールベアを見ているってことよ

そのジョークはつまらないわよ、モワノ

モワノはドールベアの背後を指差した。ドールベアは背後の机の上に、1体の熊のぬいぐるみが置かれていたことにようやく気付いた

ドールベアはそのぬいぐるみを手に取って調べた

ただの普通のぬいぐるみ……

ドールベア?変なIDね

名前を馬鹿にしないで!

はいはい、降参。いい名前ね

どうしたの?

……なんでもない、少し頭が痛いだけ

周囲の監視カメラは確認した?死亡時刻からそれほど経っていないし、犯人は遠くへは逃げていない。近くの監視カメラから何か手がかりが得られるはず

ざっと見たけど、異常はなかった

その機械体について、どう思う?

ヘキサロンバス社製の民間用自動守衛機械体「ガーディアンIII型」ね。一般的に警備用として大企業に大量購入されている。装備されているのは全て非致死性兵器よ

「非致死性」、か

彼女は皮肉を込めた口調でモワノの言葉を繰り返した

現在考えられるのはふたつの可能性。ひとつは誰かがそのコマンドを改ざんした。それができる人物は確実に凄腕よ

もうひとつは、このタイプの機械に設計上の欠陥があり、自ら人を傷つけた

ヘキサロンバス社を1度訪問する必要があるわね

ここに残る戦闘の痕跡から見て、機械体は1体だけじゃない

ドールベアは散乱した部屋を見回した

ええ、少なくとも2体はいた

モワノはそう答えながら、ハッキング装置をクリスティーナの端末に接続した

彼女の端末を調べて、何か手がかりがないか見てみる

うん、私は周辺の住民に話を訊いてくる

コンコン――

ドールベアは704号室のドアをノックした。彼女の前に現れたのは、顔に苦悩の色を浮かべた男性だった

捜査官……

こんにちは。私はエリシオン犯罪捜査局のドールベア捜査官、番号ED08です。事件に関して少しお訊きしたいのですが

あなたが通報者で間違いありませんか?

はい

その時の、具体的な状況を話してもらえますか?

はい、その時私は食事中でした。隣から喧嘩するような音が聞こえて、最初は映画でも見ているのかと思いました

でもそのうちに振動が伝わってきて、本当に喧嘩をしていると気付いたんです。その時は怖くて……

それが何時だったか、覚えています?

はい、その時に時間を確認したからはっきり覚えています。夜の、19時28分でした

それから窓ガラスの割れる音がして、外を覗いたら……

何を見たんです?

ある……化け物みたいな影でした。赤い光を放っていて、一瞬で消えたんです。見間違いかと思いました

そのあとは喧嘩する音もやんで、多分、19時35分ごろです

記録によると、あなたが通報したのは20時12分。物音を聞いてから少し時間が経っていますよね。なぜその時間になってから通報を?

……触らぬ神に祟りなしっていうでしょう。本当は通報したくなかった。だってあんな化け物……

あの影が頭から離れなくて、考えれば考えるほど混乱して、通報したんです

コンコン――

こんにちは。私はエリシオン犯罪捜査局のドールベア捜査官、番号ED08です。事件に関して少しお訊きしたいのですが

背の高い住人

何があったんだ?私はずっと寝ていたんだが

人が死んだ!?それなら大家に家賃を下げてもらわないと!

聞いていません……わかりません……

男性の声

さっさと戻って俺の飯を作れ!

部屋の中から男の声が聞こえる

黙っててよ、クズ!

疲れた顔の女の額に青筋が浮かび、部屋の中からはコップが床に叩きつけられる音が響いた

男性の声

今度こそ手加減しねえぞ!

手加減も何も、勝てっこないくせに!

男性の声

お前なんかと結婚するんじゃなかった!

悪いけど、ご覧の通り、私ちょっとたてこんでるの

何も聞いてないわ。あいつと殴り合ってたから

ああ、あの人か

彼女の生活リズム、変だった

彼女と面識が?

いやよく知らない。名前も知らないし

私は仕事のせいで生活リズムがめちゃくちゃでね

彼は部屋の中の配信機材を指差した

ライブ配信をやってるんだ。実はこの前も43時間ぶっ続けで配信してた

話が逸れたけど……明け方、ご飯を食べに出かけた時、何度か廊下で彼女を見かけた。彼女が出かけるところだったり、帰ってくるところだったり。謎めいていたね

ああ……そうだ、彼女は多分埠頭のあたりに行ってたんじゃないかな

なぜそうだと?

匂いだよ。私は匂いに敏感というか、アレルギーがあって……ある時、彼女とエレベーターで乗り合わせた時、彼女から埠頭の海の生臭い匂いがしたんだ

彼女はきっと、この世界の真実をはっきりと見てしまったんだ。自殺に違いない!

言っておくけど、この世界は偽物!私たちは皆、ケンタウルス座の雪の魔物ミダゴに捕えられてる!

それに、あのカニ菌どもは人間の姿に化けて、私たちと一緒に暮らしてる!

私たちは皆、容器の中に浮かぶ脳みそなんだ!

ドールベアは目頭を揉みながら、再び703号室へ戻った

何か収穫はあった?

ええあったわ、この世界って実は偽物らしいの

私たちは皆、今は容器の中に浮かんでいる脳みそで、雪の魔物ミダゴに実験されているそうよ

??

そうそう、その雪の魔物たちって、実はカニみたいな菌で

意味がわからないんだけど

冗談はさておき、被害者は頻繁に外出していたし、生活リズムも乱れていた。外出先には恐らく港も含まれていたようね

私の方も色々調べたわ

モワノはドールベアに端末の方へ来るよう、手招きした

このメールを見て

彼女は倉庫の利用期間を更新した。そしてその倉庫は港の近くにある

共同倉庫

都市の港付近

エリシオン

3階建ての低い建物が、遠くまで続いていた

倉庫の管理人に訊いたところ、AAAベア、つまりクリスティーナの倉庫は、1階の隅にあるとわかった

ここよ

モワノは倉庫の管理人から受け取った予備の鍵を差し込み、倉庫の扉を上に引き上げた

ここ、電子錠すらないの?

もしかしてそれこそが、クリスティーナがここを選んだ理由かも。開閉記録が残らないし

倉庫の扉が完全に開く。ふたりの目の前に現れたのは、壁に寄せて置かれたロングテーブルだった。壁にはコルクボードが掛けられている

コルクボードには、エリシオンの各種建物の写真が画鋲で留められており、赤や黄色の細い糸がいくつかの画鋲を繋いでいた

細い糸の中心には、エリシオンセントラルビルの写真があり、その横には1枚の付箋が貼られている

付箋には「本物?それとも偽物?」と書かれていた

ロングテーブルの上には、記録メディアがひとつ転がっている

周囲には、折り畳みベッドや冷蔵庫等の日用品が置かれていた

それ以外にも水平器、傾斜計、シャベル、ツルハシ、ハンマー、小型ハンドドリル等が床に散乱している

ドールベアが記録メディアを端末に差し込むと、データ画面が端末から投影された

そこにはさまざまなエリシオンの統計データが羅列されている

都市の給水統計……人口調査データ……公共交通の運営コストデータ……

はぁ?

床に散乱する工具を調べていたモワノは、その言葉を聞いて困惑したような視線を投げかけてきた

この記録メディアの中にあった情報よ

なぜ彼女はそんなことを調べてたの?

知るわけないでしょ

ドールベアはデータ画面の投影の向こう、透過しているボード中央の付箋をぼんやりと見ながら、心ここにあらずといった様子で返事をした

この冷蔵庫の下に隠し通路があるわ

モワノが冷蔵庫をどかしてカーペットをめくると、蝶番付きのフラップ扉が現れた

行ってみる?

うん