Story Reader / 本編シナリオ / 33 光追う錆夜 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
<

33-16 境界の階段

>

空間は崩壊し、歪んだ時間と空間が入り混じる。それは秩序のないリズムとなって、乱雑に入り乱れた楽譜の中で不規則な交響曲を奏でている

星雲は形を乱して回転し、次元の感覚がどんどん曖昧になっていく。もう、自分がどれだけの間ここで戦っているのか、わからない。1秒?それとも1万年?

渺茫たる宇宙に立ち向かうたったひとりの人類に、恐れるものはない

グレイレイヴン

指揮官……

ストライクホーク

指揮官……

ケルベロス

指揮官?

[player name]……

人間の指揮官は決して孤独ではなかった

何度失敗しても立ち上がり続けた。マインドビーコンを通じてリンクした、全ての意識海が集まり、微かな光となり――

――微かな灯火は、燃え盛る炎となった

無数の過去と未来が重なり合い、くびきと因果が人間を包み込んだ。数え切れないほどの失敗は、屍が積み上がった塔となり、時間によって崩壊し砂と散る

かつて経験した幾多の壮絶な戦いが地鳴りのように押し寄せ、凄惨な傷口が体と精神に幾重にも重なって開いていく

指揮官<//私たち>錆びついた歯車が徐々に回り始める

指揮官<//私たち>黒い星は天から墜ち、暗い光が大地を覆う

指揮官<//私たち>深紅の色が、動く楽園を駆け巡る

指揮官<//私たち>夜航は続き、九龍は壮麗な地へと帰還する

指揮官<//私たち>血液は腐敗し、曙光は潮に沈む

指揮官<//私たち>厄災の夜は、虚構の明日に訪れる

指揮官<//私たち>希望を見、希望は海水に浮かぶ

指揮官<//私たち>悪夢の戦いの中、新たな命が降臨する

指揮官<//私たち>少女は永夜に宣戦布告する

指揮官<//私たち>真夜中に過去の日々の影が戻る

戦い、終わりなき戦い

果てしなく長い夜、星の海にいる人間は、高次元の存在に向けて銃を構えた

硝煙が立ち込め、深まる恐怖が嘆きの声とともに人間の周囲で砕け散っていく

指揮官<//私たち>赤い光が天を貫く

指揮官<//私たち>腐敗した森が未知なる生命を詠唱する

指揮官<//私たち>海が明けの星を抱き上げる

指揮官<//私たち>碑の炎が嘆きに火を灯す

指揮官<//私たち>白日が地下深くにこだまする

指揮官<//私たち>月光が赤い悪夢に囚われる

指揮官<//私たち>涙が深紅の深淵に落ちていく

指揮官<//私たち>――

死に向かう生

「それでも……まだ続けるのですか?」

あなたとグレイレイヴンの皆がいる限り、乗り越えられないものなんてない――私たちはそうやって、これまで歩んできました

信念と勇気がマインドビーコンから絶え間なく伝わってくる

信念と勇気がマインドビーコンから絶え間なく伝わってくる

人類がここで倒れることは決してない

永遠の静寂の中で、人間の指揮官は再び立ち上がった。その瞳には尽きることのない輝きが燃え上がっていた

遥か彼方の空では、眩い大爆発の中で恒星が誕生し、消滅し、星屑は雨のように煌めいている

人類は生と死の境界に立ち、言葉で表現できない生命体を真っ直ぐに見据えている

「見えました……」

幽かで無機質な宇宙の声がする

「見えました、あなたの意志が」

リーは未知の生命体に向けてためらいなく銃口を向け、続けざまに引き金を引いた

それに続いて、ルシアが勢いよく飛び上がり、その影へと刀を振り下ろす

リーフが王笏を握りしめると、たちまち領域が展開された――

バァン!――――――

全てが――人間の手から発せられた1発の銃声によって終結した

高次元の存在は「傷口」を消し去り、偽装を解いた

「……」

長々としたため息が空間に響き渡り、この果てしなく続いた「戦い」は、ついに4人の一斉攻撃によって幕を下ろした

「観測者」の動きがゆっくりと止まり、「投影」が消え始めた

恐ろしいほどの疲労感が脳を襲い、意識は灼熱の海に投げ込まれたかのようだ。喉は呻き声すら出せないほど、焼けつくように痛む

息苦しい暗闇の中でゆっくりと目を閉じると、色とりどりの巨大なまだら模様が網膜をかすめていく

憤怒、無力、歓喜、恐怖、悲痛。数え切れない感情が脳内で一斉に弾けた。無数の星の輝きがこの場の一切をゆっくりと再構築し、そして――

全てが静寂に帰した

「血肉で、開かぬ扉に触れた――」

「あなたはやり遂げました、人類よ」