Story Reader / 本編シナリオ / 32 遥かなる星の導き / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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32-12 流れに身を任せて

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北へ進むにつれ、空気中の水分は徐々に宇宙船の窓に凍りつき始めた

燃料に……不凍液……

不凍液も足りないな。残量分だけじゃ、宇宙船内にいる機械体全てには防凍処理を施せない

船内の機械体はどんどん増えていますからね

口数の少ない獣人機械体が、船内の乗員数を計算した

やれやれ……セージ様は、まだ助けられる同胞たちを決して放っておかないからな……

……

宇宙船が軽く揺れた。接続ポートが開き、ナナミがふたりの人間を引き摺りながら飛び込んできた

やっほー!シブナ!ネヴィル!

この人間たちを助けるの、手伝って。まだ血清が使えるはず……

シブナは昏睡状態の人間たちを引き受け、宇宙船の後方へと向かった

セージ様!セルバンテスが言ってた「天航都市」まで、あとどのくらいなんだ?

燃料が不足してるわ、不凍液や機械体用の防寒具も底を尽いてるわで、大変な状況なんだ!

このままでは、30%ほどの機械体をスリープモードにしないと――

それはだいじょーぶ!ベルナたちがグレイタワーのサブCPUを改造して、外側にカバーをつけてくれたの。不凍処理できてない機械体は、その近くであったまれるから

人間のアイデアって本っ当に面白いね!ステラたちもみんな、あのストーブをすごく気に入ってるみたい!

……サブCPU……メインコンピュータの?

ネヴィルは少し驚いたようだ

そうだよ。前にネヴィルさあ、放熱がうまくいかなくて、CPUの動作に問題が出るって騒いでたよね

ベルナが外カバーに単方向ファンをふたつ取りつけたの。吹き出てくる風がちょっと匂う気もするけど、休眠に入るよりずっとマシだって……

むむっ?

話の途中で、突然ナナミは船窓に顔を押しつけた

あそこに……人がいるみたい

変異赤潮が廃墟と泥を巻き込みながら、高台にいる数人の人影へと徐々に迫っていく

待ってくれ、セージ様!まだ機体の点検が――

戻ってからでいーよ!