Story Reader / 本編シナリオ / 29 ソースビーコン / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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29-7 ヘラルド計画

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科学理事会実験場

広い実験場はシンと静まり返り、機械の唸る音だけが響いている。全ての人が首を長くして解析結果を待っていた

逆元装置の構造図だ

やはり!やはり逆元装置ですか!

彼は大声を上げた

この部分は……まだ完成してない逆元装置の改造案よ

彼女は転送されてきた暗号化資料を物凄い勢いでめくっている

……より強力なプロセッサー……間違いない。この案は私たちの今の実験と一致してる

ここを見て……

他の人々がこの発見を喜んでいた時、マイカとアシモフは、早くも次の段階の実験について議論を始めていた

ただなんとなく、この発見はあまりにも都合がよすぎるように思えた

……ちょっと、まだ調子が悪いの?

あの空間が、人間の脳に何か他のダメージを与えてるのかしら……

……それでも、スターオブライフで脳の検査を受けた方がいいわ

ゲシュタルトから送られた「門外不出の情報」にしても、あるいはセキュリティホール内で見つかった逆元装置の改造資料にしてもだ

まるで、誰もどんなものかわからないメニューが、知らない誰かの定めたコース通りに次々と提供される盛大な宴を思わせる

まさかゲシュタルトが、あるいは他の何者かが、この全てを意図的に行っているのだろうか?

振り返ると、ゲシュタルトは静かに淡く青い光を放っていた

つまり、この資料の漏洩を誰かが意図的に操作してると言いたいのね?

彼女は少し考え込んだ

その可能性がないとはいえないけど……もし外部から接続しているとしたら、条件が厳しすぎるわ

そんな芸当を成し遂げるには、最低でもアルゴリズムロックを解除して、アシモフの監視を回避しなくちゃいけない……

その情報が……

「ドミニク」が?

その可能性は無きにしもあらずだ

だが、ゲシュタルト内部にいるのは、本当に「ドミニク」だけなのか?

華胥、「皇帝」、ゲシュタルト、「ドミニク」……

ゲシュタルトは黄金時代から今に至るまで、人類に関する全ての知識と文明をほとんど保存してきた

アルゴリズムロックの奥に何かがあるとは、誰も保証できない

……待って

端末がチカチカと点滅し、特別なメッセージを表示した

……ノルマン家が、新たな「ヘラルド計画」を進め始めた……

空中庭園

ノルマングループ

レオナルドはだらりと肘掛け椅子にもたれかかり、通信の向こうにいる明らかに不機嫌そうなドールベアを見ていた

……で?あなたにできたのは、5分前に、ヘラルドたちの到着を私に通知することだけだったわけ?

あの日私に言った、ノルマングループの情報を掘り下げる努力っていうのが、これ?

これがあなたが私に豪語した「計画」なの?

……

見るまでもなく、端末の向こうの妹は激怒していた

ヴィクトリア側の俺に対する情報封鎖がかなり厳しくてな……

俺のセキュリティスタッフまであいつに取り上げられた。俺が今使えるのはいくつかの裏ルートだけだ……

哀れっぽく相手に許しを請うてはいるものの、レオナルドに悔い改めようとする様子は見えない

……だがな、3日前に教えたところで、お前に何ができるっていうんだ……

どうして私が何もできないと思うの?

ハハッ、ノルマングループのデータべースをハッキングして彼らの送信通知を改竄するか?それともいっそ……輸送機のシステムをハックするとか?

無駄だ。お前もそんなことで彼らを止められるなんて、本気で思っちゃいないだろ……

ブツッ――

通信が切断された

お前の成長を見守れない時もあったが、今のお前の立場じゃ……こんなことしかできないんだ

暗くなった端末を見ながら、彼は疲れ切った様子で椅子に沈み込んだ

俺に任せておけばいい……こんな汚れ仕事でお前の手を汚させたくはない

子供は、年長者を信じるだけでいい。お前たちにこんな早々に、暗くて恐ろしい世界に直面させるなんて、大人の俺としたことが、しくじったよ……