Story Reader / 本編シナリオ / 25 潰えぬ燎火 / Story
……ここです
ライナが飛行要塞に残した暗号通りなら、彼女が次に捜査すべき場所はここだ
目の前の飛行要塞は打ち捨てられたかのように荒れ果てている。しかし前回の罠を考えると、ピークマンが伏兵を仕込んでいる可能性もあった
ライナの暗号です！
ここが彼女が調べた最後の場所です。彼女はきっとここにいる！
制止の言葉も聞かずに、エコーは飛行要塞に駆け込んでいった
こ……これは……
意外にも飛行要塞には人っ子ひとりいなかった。ただ中央の台の上にぼんやりとした人影が見える
ライナ！
ホログラムのライナがゆっくり振り返った
アリサ？
遅かったわね。やっと来てくれた。ずっと待ってたの
ライナ！よかった、まだ生きてた……今どこに？すぐ助けに行くから！
私？私はとても素敵な場所にいるの
私はね……ユートピアにいるわ、ライナ
ここはとても素晴らしい場所よ。私はもう疲れた。ここで休もうと思ってるの
そ……そんなことって！外に出て自由を探そうって言ってくれてたでしょう！
自由……ね。もうそんなのどうでもいいの
ごめんね、アリサ、あなたをひとりぼっちにしちゃって。本当に……ごめんなさい
でも、私たちはここで必ず会えるから。アリサ……
嫌よ！
エコーは悲痛な叫びをあげてライナの方へと走ったが、ホログラムに触れた瞬間、ライナの姿は散り散りの光となって消えてしまった
見たことのない景色を、見たことのない世界を見せてくれるって……言ったのに……
ピークマンが企んだことに違いない。でもなぜエコーの意識海に干渉し続けるのだろう？彼の目的は一体何なんだろうか
近くにある巨大なモニターが光り、白衣を着た人物の姿が徐々に浮かび上がった
アリサ……見てごらん、彼女たちは皆、ここにいる
ユートピアに戻るんだ。そうすれば……ライナやセシリアにナタ、彼女たちとまた一緒にいられるんだぞ
モニターの中の男は子供に言い聞かせるように体をかがめ、薄い金色の目に優しげな笑みを浮かべていた
黒野ヒサカワ先生、急いでください……
……黒野ヒサカワ
一介の医師でしかない彼は、依然スターオブライフで働いている……
でも今回、あなたの検査報告を担当したのは「偶然」にも彼でした
ほう、やっと私が誰かわかったのか？グレイレイヴン指揮官
空中庭園は君を厳重に保護しているようだ。君の検査報告を見たことがあるが、非常に完璧なものだった
君も……素晴らしい培地になれたのに。彼女たちの誰よりも素質が素晴らしかったからな
ああ……私はちょっと後押しをしただけだがね
彼らのほとんどは自ら志願したんだ。その内、素材として使えたのは極めて少数だったが
それが何かいけないというのか？
私なら彼らに生と死以外の3つ目の選択肢を与えることができる
全てが終わったら、彼らは私と一緒に……本当のユートピアで永遠に生き続ける
時が止まり、誰も老いることなく、誰も死ぬことなく、誰もが無限の力を手に入れる……その光景はなんと美しいことか
ああ、もう時間がない、始めなくては……
では、ここで生き残れることを祈っているよ。グレイレイヴンの……指揮官
飛行要塞の隠し通路が猛然と開き、エンジンの轟音が聞こえた
……こっちへ！
