Story Reader / 本編シナリオ / 23 稲妻走る冷枷 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
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23-14 深淵

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冬を越すための松明が、文明を燃やし尽くす業火と化してしまった

構造体を軍事化するための研究に変更しろと?

相手の要求を聞いて、ゴドウィンは眉をひそめた

私はそんなくだらんことのために研究を続けてきたんじゃない。そんなことはダイダロス社か極北研究所に任せておけばいいだろう

パニシングとの戦争では人類は負け続けている。我々は新しい武器を必要としているのです

ゴドウィンさん、どうかご理解を

相手は懇願口調だったが、ゴドウィンは一顧だにしなかった

私が研究の方向を変えることを潔しとしても、今の実験素材では無理だ

「クティーラ」計画が潰された今、実験素材が全然足りていない

その点についてはご心配いりません。他部門が総力を挙げてあなたの研究を支えますから

人類の存亡に関わる戦争です、我が身を捧げようとする志願者は大勢いるでしょう

それが本当に志願者、ならな

ゴドウィンさんが人道的に承服しかねるということなら、他のどなたかにお願いするまでです

……

先にTa-193コポリマーの適性をチェックしてくれ。失敗するとわかってて行う実験など無意味だからな

いえ、我々にとってはその失敗も意味があるんです

そのデータを使ってTa-193コポリマー適性を高める研究をしてはいかがでしょう?

こんな時代なんです、改造の失敗はよくあることですよ

崩壊したエリアを離れたルシアとαは、暗い廊下を歩いていた

上層と違い、ここは一本道だった。枝分かれする廊下は全てこの廊下につながっているらしい

これらの痕跡はまだ新しい。しかも全部、構造体の武器によるものだわ

αは廊下の壁に残る痕跡を観察し、そう独りごちた

この場所は黒野にとって重要な資産のはず。簡単に捨てる訳がない

αがずっと考え続けていた疑問がようやく氷解した

たまたまここを見つけた私たちと違って、彼らはここに直通する通路を知っている

彼らは資産の回収を最優先するはず。だから上の層には彼らの痕跡がなかったのね

……

……さっきから上の空みたいだけど、何か訊きたいことでもあるの?

ここはルナが移送される前に監禁されていた場所って言っていましたよね?

一部しか真相を知らされていないの……ふん、隠し事の好きな彼ららしいわね

ルナは今どうなっているんです?

あなたが知る必要はない

あなたの立場では「集噛体」のような強大な脅威を倒す時以外、彼女と同じ戦線に立つことなんてないと思うけど?

今だって、あなたはグレイレイヴンを巻き込みたくなくて単独行動してるじゃない

その道を自分で選んだなら、徹底なさい

無駄な考えは持たないことね。それとルナの件に首をつっこまないで

チッ……

αは急に黙り込み、意識海のノイズを抑えようとした

ほんっとにしつこいわね……

先ほど感じた根拠のない怒りを思い出し、αはぎゅっと眉根を寄せた

(理由もなく変わるはずがない。きっと何か原因があるはず)

彼女の考えを証明するように目の前の扉が開き、ふらつく人影がふたりの前に現れた

実験体?違う、もう完全に侵蝕されている!あれを制御できますか?

あなたが昇格すればいいこと

αは刀を抜き、目の前の敵に向かって構えた

やつに触れないで。昇格ネットワークの侵蝕が速まるから

ギィ!!!

影の中に潜む侵蝕体が突進の合図のように叫び、ふたりに向かって突進してきた