見て、あの機械体に変なものがぶらさがってる
ナナミはパワーから飛び降り、道端に立っている「旅人」の横にしゃがみ、機械体にぶらさがっている布を触った
袋を背負っているみたい……
ナナミ、訳のわからないものは食べない方がいいですよ!
ナナミがその鞄から得体の知れないものを取りだし、口に入れようとした瞬間、Sniper-PK43は声を張り上げて彼女を止めようとした
モグモグ……んんっ、なんか変な味……
だから食べるなと……
でも、これは確かに人間の食べ物だよ!指揮官のために少し持って帰ろうかな。ここのお土産だよって
その人間のことが心配になってきましたよ
さあ行こう、この方向に進もう!
侵蝕体が食べ物を持ち歩くのはヘンだね。鞄に食べ物が入ってたのは、この子は途中で何かがあって戻れずここで……おうちに、食べ物を待つ他の人間がいるのかも
戦闘でボロボロになった黒い鞄をパワーの武器にひっかけると、ナナミはその汚れた鞄に顔を寄せた
……想い、ナナミはここから想いを感じるよ
人間風に言うなら、今のあなたは霊感詐欺師みたいですけどね
もう、いい加減にしてよ!さっきからツッコミばっかりでさ!
私を作った人間はとても寂しがり屋だったので、私は絶え間なくツッコむ性格に設定されているんです
とにかく、特殊な事件が起きてるって臭いがするの。調査しに行くよ!
ナナミとSniper-PK43が一帯を調べてみると、またしても近くで手がかりが見つかった
ふたりが雪を払うと、そこには子供のオモチャと飴の包み紙が散乱していた
その痕跡に沿ってふたりは進み、ナナミはパワーを操縦して崩れた建物の残骸を持ち上げた。ふたりの前に現れたのは狭く暗い階段だ
おお……
パワーちゃんは入れないね!
パワーをその場に残し、ナナミとSniper-PK43はその狭い入口へと進んだ。階段を降りた突き当たりに扉が見える
このまま入るのですか?
ナナミは指を立てて、シーッというジェスチャーをしながら、扉を軽くノックした
こんにちは?ナナミは悪い人じゃないよ。返事がないならナナミ、入っちゃうよ
返事はありませんね。入りましょう
扉には機械式のロックがかかっていたが、ナナミが少しいじっただけで開いた。ナナミはそのまま扉を押し開けて中へと入った
ここは地下に作られた保育園みたいだね……
部屋にはわずかな光しかなく、基本的な生活施設や、鉄パイプで作られたベッドがいくつか置いてある。狭くて暗い場所だが、綺麗に掃除されていた
ここ、最近誰かが掃除したみたい
おーい誰か~い~ませんか~?
ナナミは不気味なメロディで歌いながら、部屋をうろうろと歩いた
それだと、皆怖くて逃げちゃいますよ
ナナミの後を追って入ってきたSniperはサーモグラフィースキャナーを起動し、室内を調べた。すると部屋の片隅に弱いながら熱源反応が出た
ナナミ、何かがあなたの……
かくれんぼ!ナナミ大得意~。ヒャッ!!
ベッドの後ろを歩いていたナナミはいきなり飛び上がり、それから手で胸を押さえた
びっくりした……新しい服が破れるところだったよ!
……目の前にいます
Sniper-PK43が近づくと、人間の女性を模した機械体がベッドの後ろで震えていた。床に座り込んだ彼女は両手で錆びたナイフを構え、怯えた目でふたりを見ている
Sniper-PK43はデータベースで機械体を検索したが、長年更新されずネット接続も無理で、型番が類似する機械体しかわからない。黄金時代生産の育児ロボットらしい
ねぇ……大丈夫だよ。ナナミは別に怒ってないし、怖がらないでいいの
ナナミはかがみこみ、相手を刺激しないようにその機械体には触れず、頭をなでるような動作をした
だがその行動が本当に効果的だったようで、震えながらも、女性機械体はナイフを握る両手を少し下げた。彼女はナナミとSniper-PK43を交互にちらちらと見ている
あ……あなたたちは……
私はナナミ、後ろにいるのはスナッちだよ。ナナミたちは人間を探しているの。人間に会ったことはない?
……人……間?
あ……あの、私の子供を……助けてくれませんか……?
ええ?子供がここにいるの?見かけなかったけど?
Sniper-PK43はその「頭」を横に振って、周りに人間の反応はないと合図した
「子供」という単語を口にすると、目の前の機械体は優しげな表情を浮かべた。しかし、そこには悲しみも浮かんでいる
私は彼を隠しました。外の気温があまりに低くて、それに侵蝕体もいるから……彼を傷つけずに守るために、私はしかたなく……
あの日、マリアが彼のために食糧を探しに出かけましたが……帰ってきません。彼はずっと寒がっていて、ひとり残す訳にもいかなくて……彼につき添ってあげないと……
これはあなたのもの?
ナナミは先ほど発見した鞄を女性の機械体に見せた
そう……そうです!それはマリアの鞄です!マリアはどこに?食糧は?
そのマリアって仲間は、もうここを離れたの……でもね!この中にはちゃんと食べ物が入ってる。マリアはそのために一生懸命頑張ったの……これ、返すね
女性機械体の持つナイフが床にポトリと落ちた。彼女は震えながら鞄を受け取り、中から食べ物を取り出した
えーと、ナナミ、つい一口食べちゃったけど……他は大丈夫のはず!
ああ、ありがとう……ありがとうございます
彼女は立ち上がり、泣くような声でお礼を言った。しかし機械体の彼女に流せる涙はない
ナナミはやるべきことをしただけ……できたら、その子に会わせてくれないかな?
もちろん。今は昼寝しているかもしれませんが……家に食糧はほとんどなくて、あなたたちが来てくれて本当によかった。でないと私も食べ物を探しに行くしか……
機械体はまるで主婦のようにエプロンで手を拭き、ふたりを部屋の一角へと連れていった。そこには布と木の枝で作った小さなテントがあり、彼女はそっと黄ばんだ布を持ち上げた
そこにはベビーベッドがあったが、ベッドよりもひと回り大きい人影が体を丸めて寝ている。その体には軍用コートがかぶせられていた
……!
Sniper-PK43が声を発するより早く、ナナミは顔にかかっている黄色と白の縞柄の布をめくった
ふたりが予想だにしなかった光景が目の前に現れた
うっ……!
布の下の人間の死体を見るなり、ナナミの手が震え、マフラーとコートは反対側へバサッと滑り落ちた。そこに現れたのは不思議な体勢で丸まっている男性の死体だった
これ……は……
シーッ、お静かに。まだ眠っています
これ……子供なんかじゃない!
ナナミは驚いて振り返り、優しそうに笑う機械体を見た
Sniper-PK43は瞬時に攻撃モードに入った。何年ぶりかとは思えない反応速度だった。彼は銃口を女性機械体に向けたが、人間にしか見えない顔が更に不気味に思えた
……彼に何をしたのです?あなたが殺した?
何を言っているのです……ちゃんと生きているじゃありませんか?まだ生命反応がありますよ
機械体は困惑した表情で軍用コートをめくった――その厚いコートの下、すでに冷たくなっている遺体の懐で、数羽の雛が静かに体を寄せ合っていた
ほら、心臓がまだ動いています。少し前に彼は寒いと言って……私が暖かくなるような物をいろいろ探したんです……
少し前って、どれほど前のことです?
それは……わかりません……
目の前の「女性」は初めてそれに気づいたように、呆然とした表情になった。彼女は自分が一生懸命守っていたベビーベッドを見つめ、何が起きたのかを整理しようとしている
私が、やったのですか……?彼は暗い夜に現れ、ドアをノックして……私は長い間、人間と会っていなくて……彼はひどい怪我をしていて、私とマリアでずっと彼の看病を……
それから、それから、どうなったのかしら?私はもともと子供の看病をしていたから看病はうまくできていたはず。でも翌日の夜、彼が突然寒いと言って、でもその体は熱くて
薬も見つからず……彼が眠いと言ったので私は一晩中彼を抱きかかえていました。でも翌朝、彼の心臓は止まってしまった……
機械体は呆然としたまま自分の手をじっと見つめた
私に何ができたのでしょう……?彼に戻ってきて欲しい。どうして彼を守れなかったのでしょう。私が世話をするべきだったのに。彼はまだあれほど幼く、弱かったのに
機械体はゆがんだ声で泣いた。彼女は初めて泣いたのかもしれない。「泣く」プログラムは搭載されておらず、本能的に人間を真似て泣く彼女の声は掠れ、耳に刺さるようだった
どうすればいいかわからず、私は彼を抱えてずっと窓辺で待ち続けました。どれほど待ったか覚えていません。彼を失ったことで、きっと私も自分の存在意義を失いました
でも再び、彼の体に生命反応を感じたのです……
おそらく、それは吹雪で行き場を見失い、間違って飛び込んできた鳥だろう。狭い空間を飛び回り、体力が尽きてこの暖かい布の中にあった人間の懐に巣を作ったのだ
どうしたらいいんでしょう……
「女」は力なく自分の胸のあたりの服を握りしめ、自分を問いただすように何度も自分を叩いた。まるで自分の魂を自身の体から追い出すかのように
私は一体何を……この感覚は……一体何でしょうか……
……まさか彼が、こんなことになっていたとは
――彼の製造者は屋上から飛び降りたものの、その時はまだ生きていたのだ。彼はなんとかここまで歩いてたどり着き、この狭く暗い保育園で息を引き取ったらしい
……
ナナミは流れ落ちる涙を両手でぬぐった
そうだったんだ……
ナナミは床にうずくまっている機械体に近づき、今度はしっかりと彼女の肩に手を添え、ゆっくりとなで続けた
……
その後、銀髪の少女は床から小石を拾うと、壁に何かを描き始めた
何をしているんです?
ナナミは返事もせず、ただ一心不乱に描き続けた。しばらくすると、壁に理解しがたい記号で構成された絵が現れた
これは何ですか?
女性機械体も頭を上げ、戸惑ったような目で絵を見た
……これ、人間が鳥になって空を飛んでるの
ナナミは女性機械体の手を取り、存在するはずのない彼女の涙を拭き取った
その人間はあなたのことが心配だから、小鳥になってあなたに会いに来たの……だから、もうこの場所に自分を縛りつけなくていい
でも、私は何をすれば……?
やりたいことをやりに行くんだよ
やりたいことなんて何もありません。私が唯一できるのは、子供のお世話をすることだけ……
それは違うよ……自分の胸に訊ねてみて?
ナナミは女性機械体の手を取ると、自分の胸に当てた
ここに悲しみを感じたの……あなたが悲しみを感じたなら、楽しさや感動、好きという気持ちも感じられるはず。人間を追い求めたように、あなたには追い求めるべきものがある
機械体はナナミの目をずっと見つめていた。「啓示」を受けたように、彼女の虚ろな目に、わずかな水分が湧き出て、輝いているようにみえた
それを探せばいいの。自分を自由にしてあげて
静かな部屋に鳥がさえずる声が聞こえてきた。やがて、女性機械体が優しく歌い始めた
変わりゆく砂漠を飛び越えて……怒れる山々を乗り越えて……
嵐を横切ってゆく、あなたの側へゆくために……
雪が更に激しく降りだした。白い空が割れて砕けたように大地に雪が降りしきり、全てを真っ白に覆った
大雪の中に立つナナミをパワーが持ち上げた。圧倒的な天地を前に、自分が小さく感じられる。彼女は世界のどこかで心臓の鼓動が聞こえないかと耳を澄ませたが、何も聞こえない
ただ聞こえるのは風の音だけ――
ナナミ……
ともかく、私たちは彼を見つけました
ナナミはパワーから飛び降り、レコーダーを手に近づいた。機械体からあの人間がずっと持っていた物だと手渡されたのだ。彼女は静かにSniper-PK43を見つめた
ここにまだ音声データが残っているはず……聞く?
Sniper-PK43は黙っていたが、ナナミは再生ボタンを押した
えっと……こちらオザキ
若い男の声が聞こえてきた
え……っと、今は……ザザッ……小隊が……ザザッ……この駐屯地に来てすでに21日が……すぎた。私は日誌のように記録を残そうと考えている
男の声は電流のノイズのせいで歪んでおり、メッセージも途切れがちだ
……極寒が広がって、地球には未曾有の冬が訪れている……幸いなことに、気候と環境の二重の影響により、パニシ……も減っているようだ……人間はまだ希望を探せている
最初のメッセージはここで途絶えた。レコーダーのモニターには残り時間が表示されている――12:37:21
ナナミは再生ボタンを押した
今日は26日目、まだ何も起きていない。侵蝕体の姿も見えない。私は道の突き当たりで、電源の入っていない……ザザッ……を見つけた。修理できるかどうかはわからない
Sniper-PK43はその人間が自分のことを言っているとすぐに気づいた
Sniper-PK43はレコーダーから聞こえる疲弊した声を、自分のデータベースに記録していた声と照らし合わせた――果てしなく広がっていく憂鬱さを感じながら
35日目
今日はビルの倒壊を見た。温度の影響でコンクリートに化学反応が起きたのだろう。私は……ザザッ……あてもなく巡回していた。突然、ガラスの割れる音がしてガラスが落下した
そして見えない手に押されたかのように、私の目の前でビルが積み木のように倒壊した。私は驚いて走ったが、防護服を着ていたから大変だった。だが幸いにもケガはなかった
ふと私は考えた。そこで暮らしていた人々は、どれほどの歳月を費やしてこのビルを建てたのだろう?だが、自然は一瞬にしてそれを壊してしまった。塵は塵に、土は土に
今日は黄金時代の幼稚園を見つけた。子供たちが生活していた痕跡はあるが、誰ひとり残っていない。ハンクたちに物資を持ち帰ろうと探索したが何もない。だが意外な収穫が……
ガラスは全部割れていたが、部屋には居住者がいた。私は窓の側に鳥の巣を発見した。彼らは食べ物や毛皮をくわえてきて、骨や羽毛を残す。そのせいか部屋にまだ生気を感じる
チュンチュン――
レコーダーから鳥の鳴き声が聞こえた
いい子だ。また会いに来るからな。次は缶に残ったスープでも持ってこよう
私はあの機械を修理した。ゼビアが助けてくれてありがたかった
個人的に……ゼビアに人格シミュレーションプログラムを入れてもらった。話し方はナッちゃんに似てる。ハハッ……いや、似てないな。ま、ナッちゃんが側にいると思おう
彼を駐屯地の東側に設置しようと考えている――自分の代わりに見張ってもらえるし、徘徊する侵蝕体も駆除できるだろう
ハンクの極寒症はどんどんひどくなる一方だ……空中庭園に戻すべきかもしれない。スターオブライフが治療してくれるはずだ
……ハンクは撤退まで持たなかった。悲しいよ。本当に
ゼビアは撤退を考えているが、難民たちや皆はどうする?パニシングはこの気候に適応し始めたらしい。前線の戦闘も激しいし、より極寒化した場所へ派遣してもらうべきか?
それからは無音で、たまに断片的な音声が聞こえるだけだ。ナナミは早送りし続けて音声が聞こえたポイントで巻き戻した。それはとぎれとぎれの掠れた歌声だった
山や海を飛び越え、果てしない海を横切り
暗い影が躍る森を通り抜け
……沈黙する深い谷を越え
あなたの側にゆく……
……
……少し前、前線から報告があった。どうやら先輩が戦死したらしい。先輩の遺体は空中庭園には運ばれず、地球に残されたと
地球に駐在している間に、私は朽ち果てた文明のかけらをたくさん目にした
町に渡り鳥や獣が現れている。動物は環境に適応し始めたんだ。地球には傷跡でしかない人間の痕跡を、自然が癒やしている……人は自然を掌握したつもりで、それは幻想だった
黄金時代の学者たちは言った。私たちの文化と歴史は無線電波とテレビラジオで永続的に拡散され、宇宙に無限に伝播する。ある星の知的生命体がこのメッセージを受信するかもと
しかしテクノロジーは進歩し、科学者たちは計算した。結論からすればその電波は2光年後、ノイズになる。計算が正しければ、我々の電波は太陽系に最も近い新星にすら届かない
では1万年後に、この星に我々が作り上げた輝かしい文明が存在していたことを、どう証明すればいいのだろう?鉄は錆び、コンクリートも崩れ落ち、本は全て腐食しているだろう
[player name]先輩はかつてこう言った。どんな物語にも表と裏があると
「生命は我々が思うより強靭だ。自分が戦えなくなっても希望は受け継がれ、万物は栄枯盛衰しつつも脈々と続く。我々人類も万物の一部だ。私が消えても、命脈は受け継がれる」
…………
空中庭園は地球からの撤退を決めた。この星はもう人間が生存するのに適していない。しかし私は、生命を継続するためにここに残ろうと思う
――空に翼の軌跡は残らずとも、私は確かに飛んでいた
残り時間――00:00:00
メッセージはここで終わっていた。ザザッというかすかに聞こえる電流のノイズが、物語の終了を告げている
赤黒く染まった凍える太陽が、この凍てつく都市の地平線の向こうへ沈みつつあった
何者かがいとも簡単にこの灰色の世界からナナミを引きずり出し、少女が積み上げてきた幻想を無情にも打ち砕いた
……[player name]……?
メッセージにたった一度だけ聞こえたその名前を、少女は小声で繰り返した。彼女の表情は見えず、Sniper-PK43はナナミの気持ちを推しはかることができなかった
知り得る限りの情報はわかりました。ナナミ、ありがとうございます
私たちはもう自由です。人間がいないなら、私たちにも存在意義はありません。あの機械体の彼女の話は正しかった
少女とともに旅をしてきた機械はそうつぶやき、この場を去ろうとしていた
どこへ行くの?
ナナミは彼を引き留めようと、とっさに掴んだ。機械体のふたりは、分かれ道のような十字路に立っていた。そこに深い溝があるかのように、吹雪がふたりの間を吹き抜ける
私はすでに製造者の末路を知りました。この世界に私と関係のある人間はもう存在しません。ですから私たちの協力関係もこれでおしまいです
ナナミを置いて、自分ひとりでどこかへ行っちゃうの?
私は元の場所に戻り、警備をしなくてはいけません
なんで、まだそんなことを……
私たちは何も変えられません。人間はすでにここを離れていました
私にできる唯一のことは……
人類に指示された命令を続けることです
もしあなたに成し遂げたいことがあるなら、それはもう、ひとりでやってもらうしかないですね
でも、でもさっきのあれが本当なら……
少女は目をごしごしとこすり、頭を上げた。少女の目を見て、Sniper-PK43はふと気づいた。彼女は自分の全てを知っているのに、自分は彼女をまったく知らないと
ナナミには……まだやることがあるの
……それがいい物語になることを願っています
Sniper-PK43は話し終わるとくるりと背を向け、遠くの地平線に向かって歩き出した