……カムイ、一体何をしている……
何って……見りゃわかるでしょ、亀裂を広げてるんですよ
爆薬は期待した通りに壁に亀裂を作った。だが所詮は侵蝕体対策で用意されたもの、光の壁にしてみればほんのささやかな衝撃にすぎない
現に爆発による亀裂は、目に見える速度でふさがっていく。そこでカムイは武器を放り投げ、自分の身体で亀裂を支えているのだ
……本当にお前は馬鹿だな!
口ではそう言いながらも、クロムは素早く動き、カムイと一緒になって小さな亀裂を支えた
目を閉じ、歯を食いしばって、凄まじい痛みに耐える
この大きさでは……せいぜい子供ひとりが通れるかどうかだ。カムイ、もう少し広げるぞ
りょーかい!!!
ふたりの身体が接している光壁が衣服を裂き、直接皮膚に届いた。その瞬間、皮膚も蒸発し、機械パーツがあらわになる
隊長、正直にいうと……ちょっぴり痛いです……
これが「ちょっぴり」?……あとで痛覚システムの全面チェックを受けろよ
ひえ、それだけは勘弁……
なら、もっと頑張って押せ……!
まるで堅固な盾のようなふたりによって、亀裂は徐々に広がり、ハッチほどのサイズになった。彼らと光壁の接触もどんどん深くなり、絶え間なく火花が吹き出している
準備はいい?もうすぐルシアが到達する!
とっくにできています!早くしてください!