よ……ようやく、合格ラインにたどり着いた……
合格ラインとは光の壁付近のことだ。ルナは何も言わなかったが、昇格者3人の共通認識として、本作戦で一定の成績を上げなければならないらしい
九龍の戦いは続いているものの、戦況は徐々に変化していた。いつのまにか昇格者が城壁外の大部分のエリアを制圧し、パニシングをばら撒いていたのだ
侵蝕されたか……曲様の命令通り、すぐに楽にしてやろう!
——!
ラミアは、圧縮したパニシングを噴射しながら進む。ロランの予想通り、逆元装置を持たない禄存に、パニシングに抵抗する術はない
おのれっ……!
パニシングの濃度が上昇するにつれて、誇り高き九龍側も焦りを見せ始めた。通りやエリアを封鎖し、被害を最小限に抑えようと試みている
隊長、防衛線前方に女性侵蝕体1体を確認!
何だ、あの姿は……昇格者か?火力を集中せよ!潰すのだ!
隊長の号令の下、全禄存がラミアに向かって一斉に射撃し始めた。だが、砲火はラミアに命中することなく——
——そのまま、その身体を通過していく
まさか、投影!?本体は近くにいるはず!探し出せ!!
投影じゃなくて、幻覚ね……幻覚を見ちゃうようじゃもう、どうしようもないんじゃない……?
ぐっ……ぐあぁぁぁぁぁ……!!
九龍の守衛たちが散開しようとしたその時、それは目の前に出現した。ラミアが手を伸ばし、軽く守衛の身体に触れた瞬間、そこから異物質が高速で増殖し始める
ラミアが最も得意とする戦術だ。パニシングを媒介として、相手の機体の制御を無力化するのだ
瞬く間に、悲鳴とパニシングがエリア内に拡散した。だが、ラミア本人はろくな関心も払わないどころか、逆に鬱々としている
はあ、疲れる……さっきの物凄い爆発音は、多分ガブリエル……つまり私は、光の壁の中に入らなくてもよくなった……
ロランの方は……
はあ、応答がない……先に戻ってもいいかな、これ?
いや、ダメに決まってるよね……
……線路の方から何か来てる。前に言ってたアディレかな……なんで毎回、空中庭園っていうのは、色んな人間をかき集められるんだろ……
頭痛の種が増えるにつれて、ラミアの表情も次第に「厳しく」なる。そしてとうとう、全てを諦めたかのような深い溜め息を吐いた
なるべく人が多いところへ出て、真面目に働いてるふりをしよう……そうしたら多分、ルナ様も満足してくれる
……うん、そうしよう