Story Reader / 本編シナリオ / 12 九龍環城 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.

12-1 迷霧

>

ウミツバメの鳴き声が響くが、その姿は見えない。だが、楽器のようなその声は人々に安堵をもたらした

ねぇ、あれ!あそこ泳いでるのってサメじゃないっすか!?隊長、一瞬鎌借ります!

何度言えばわかるんだ……待機中は静かにしていろ

でもさ、隊長!見てくださいよ!グレイレイヴンだって、めちゃめちゃ海楽しんでるじゃん!

カムイは甲板を指さす。ルシアはいつも通り周囲を観察しているが、リーフは海を見て少し興奮しているようだ

ついでに言うと、ルシアは蒲牢(ホロウ)が以前舞台で使用していた衣装を贈られたらしい

リーフは片手で手すりをつかんで身を乗り出し、もう一方の手で海面から何かをすくい上げた

ルシアがリーフにそっと耳打ちする。リーフはルシアに言われて初めて、皆の視線を集めていることに気づいたらしい。一瞬で硬直し、顔を真っ赤にする

ええっと、その……これ……

ほら!グレイレイヴンは休憩を謳歌してるんですよ!隊長ぉ、俺たちだってたまにはいいじゃないですか~!

まだ接岸もしていないんだぞ。行動には慎重を期すべきだ。グレイレイヴンの皆さんももう少し緊張感を持っていただけませんか?

ばんざーい!

……指揮官がそう仰るのであれば……

ご理解いただけたようで安心しました

指揮官は俺の味方だと思ってたのにぃ!

「システム不具合」により海上に足止めしてしまい申しわけありません。船上の生活に何かご不便はありませんか?

反対側から睚眦(ガイサイ)と呼ばれる九龍衆が歩いてきた。一度は敵対したが、「ヴィリアー」の死後、睚眦は自らの非を認め、如何なる罰でも受け入れると表明したのだ

問題ありませんよ。以前と違い、いたるところに敵が潜んでいるわけではないですからね。船の片づけは一段落したんですか?

まだ道半ばといったところでしょうか。蒲牢たちの手が放せませんので、代わりに私がお伺いに参った次第

では、皆の最大の関心事についてお訊ねしても?僕たちは今、「九龍」に向かっているんですよね?

ええ。船のシステムが復旧した以上は自然にたどり着きます。もうすぐ「真の九龍」をお目にかけますよ

私どもが離れてからかなりの時間が経っていますが……計画における九龍環城は決して脆くはないはずです

無数の文化と核心技術を擁する要塞都市なのですから

システム復旧後にコンタクトはとれたんでしょうか?帰航の通知はお済みですか?

それは……

どうしたんだよ?もしかして、この船みたいにあっちも何かに操られてるとか言わないよな……?

それはないと思いますが、ただ、こちらからの通信に……一切返答がないのです

周波数を誤った……というわけでもなさそうですね

ええ、それはありえません。データベースを隅から隅まで照合し、通信の周波数についても何度も確認しました

つまり、目的地に何らかの問題が起こっている可能性がある……

乗組員

睚眦様、港を確認できました!入港可能です!

皆の思考は、船内放送によって中断された

どうやら我々で直に状況を確認するしかなさそうですね。グレイレイヴン指揮官、君たちも一緒に来ていただけますか?

ありがとうございます。グレイレイヴンがいれば百人力です

別行動は安全面のリスクを高めます。指揮官、ストライクホークと一緒に行動しましょう

突如、動物の鳴き声のような通知音が船内に轟く。あらゆる話し声や不安をかき消すような轟音

乗組員

接岸!