Story Reader / 本編シナリオ / 10 永久列車 / Story

All of the stories in Punishing: Gray Raven, for your reading pleasure. Will contain all the stories that can be found in the archive in-game, together with all affection stories.
<

10-11 決定

>

私は……!

無事、到着しましたか……

え?

厚く、重い貫通扉が開く音によって、ソフィアの言葉は遮られた。車内の人々は一斉に扉を見やる

そこには激しい戦闘を終えたばかりであろうふたりの人影。足下にはくず鉄と化した大量の侵蝕機械体が転がっている

ルシア!それにビアンカさん……その機体は?

状況にふさわしい機体を選択しただけです。お気になさらず

はい。ご命令を、グレイレイヴン指揮官

すみません。別々の方向に飛ばされてしまって、合流できませんでした。ですが、リーの信号は健在ですので、無事でいるはずです

……あなたが空中庭園から取引にいらした方ね?

歓迎のご挨拶をしたいところだけど、ご覧の通り……少し間が悪かったわ

ええ、どうやら入場のタイミングを誤ってしまったようですね……一体何を話されていたんです?どうぞ、続けてください

その前に……質問に答えて

空中庭園はジャミラの取引に同意したの?

それは……

ビアンカは少し間を置き、車内の人々をひと通り見渡してからうなずいた

空中庭園はアディレの取引に応じます

……ですが、私個人としては、空中庭園への移住は決して幸福を保障するものではないと考えます

……あなた

ビアンカはソフィアの金色に輝く目をじっと見つめ、その考えを見抜いたようだ

あなたなら、もっといい提案ができるのでは?

もっといい提案?私……

自分を……

ううん。怖気づいたりなんかしない。私もアディレの一員!だから、私も商人としてやるべきことをやる!

ソフィアは覚悟を決めたようだ。おもむろに銃を取り出すと――

人々に警戒する間も与えず、床面に置いた。今なら誰でも簡単に奪うことができるだろう

…………?

私は交渉なんてわからない。だから、私の提案に賛同できないなら、話が終わったあとにこの銃で私を殺して。それからまた、皆で話し合えばいい

……ジャミラ、ヒース、そしてここにいる全ての人。貴族にも、平民にも、取引を提案する……!

どんな取引かしら?

どうやって実現すればいいかはわからない。でも、私は列車も、空中庭園も必要ない世界を創る

馬鹿じゃないのか……列車も、空中庭園もない?なら、揃ってパニシングに侵蝕されるだけだろう……

そんなことない

このクソガキ……!適当なことばかり言いやがって!

今はまだどうすればいいかわからないけど、絶対にやってみせる。あんな、真っ黒で静かな宇宙の果てになんか行きたくない。昇格者にもなりたくない

私は自分が守りたいものを守りたい。このアディレの全てを守りたいだけ。だから、取引して!

皆のために本当の終着点を作る。何も考えず死ぬまで気楽にいられるような、嘘で塗り固められた終着点なんかじゃない

皆で努力して、自分の力で地上に出られる終着点を作りたい!

ふざけたことを……!

へへ……面白そうじゃん?

心配ない。さっきは機体の損傷がひどすぎて、ちょっと目眩がしただけさ

ソフィアはこういうやつなんだ

ジャミラ様、空中庭園は我々との取引に応じるのですから、当初の計画通りに……

最初の取引を進めましょう。このガキは、でたらめばかりで……

ソフィアの取引相手は個人ではなく、このアディレ全体よ。決定権は皆にあるわ。誰でも選択権を持ってる。皆はどう思うの?誰の意見に賛成するの?

平民A

も……もちろんソフィアよ!!私たちと同じ出自の……きっと、私たちをよくわかってくれているはず!

貴族A

空中庭園に行けばいいだろう。こんな七面倒な取引……たかだか構造体の戯言ではないか

平民B

俺たちにも選べるなら、ソフィアだ!俺はソフィアに助けてもらったことがあるんだ……

貴族B

今思えば、昇格者も100%の保証をしてくれているわけではないな……それに引き換え、こいつらは見るからに善人だ……

貴族A

自力で地上に戻る……本当だとしたら好条件の取引なのでは

興奮した平民たち

いつまでも逃げてたらダメだ!他の勢力の庇護を乞うより、自分たちの手でやるべきだ!

こそこそ話す貴族

そう言われたら確かに……あれは構造体だろ?もしかしたら、本当に強いのかも……

おい、まったく!どいつもこいつも……

ソフィア、あなたに言った言葉を覚えてる?取引において、最大級の利益を得るためには……

……よりリスクが高い方を選ぶ

それが私、そして商人としての皆が出した答えよ

……うん!

どうやら、結論が出たみたいですね。では、空中庭園とアディレの取引はここまで。ここからは……構造体の時間です

列車の上では青い人影が侵蝕体ともつれ合っている。人影は階段の方向から聞こえる音に気づくと、動作を加速させた

ギィ!!!

そして、侵蝕体を思いっきり蹴り落とす

誰かさんの二番煎じは不本意ですが、「遅すぎ」ですよ

何か深刻に話し合ってたでしょう。そういうの苦手なんです

隙を見て機体を変えたんですよ

軌道異合体

――!!!!

武器がないので、あまり時間を稼げませんでしたが……ソフィア、あなたの銃を貸してくれませんか?

でも、これは私が提案した取引だから……

僕の記憶では、補助型は「連続高速戦闘」に向いてないはずです。一方的であることが引っかかるのであれば、値段をつけましょう。金貨ゼロ枚でお助けしますよ!

タダほど怖いものはない……でも、ありがとう

これで戦力が揃ったどころか、ビアンカもいます……指揮官、今度こそ敵を徹底的に殲滅しましょう

了解!